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三笘薫、プレミアリーグ日本人通算最多ゴールに並ぶ ウインガーとしてのその価値とは? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【三笘にいいタイミングでボールが収まらない】

 つまり、この日のイプスウィッチ戦は、三笘にとって3試合ぶりとなる先発出場だった。

 開幕からスタメンを張り続けてきた選手が、ここ2試合、スタメンを外れた。その意味をどう捉えるかだが、この日フル出場したことを踏まえると、監督からの評価が下がったと深刻に考えるより、休養と見たほうが自然だろう。

 今季のフルタイム出場はこれが12試合目となる。アタッカーでこれほど長い出場時間を誇る選手も珍しい。だがその弊害なのか、対峙する相手のSBに1対1を挑む機会は確実に減った。ウインガーとしての評価を左右する、縦突破を決める回数も当然減った。トライする数が減れば、決まる回数も減る。

 もっともその前に、三笘にいいタイミングでボールが収まる機会が減っていたことも事実。ドリブル&フェインを軸とするウイングプレーに移行しにくくなっていた。昨季と比較すれば活躍の機会そのものが減っていた。つまり、チームとしての問題でもあったのだ。

 並の選手はそこで腐るだろう。平常心を失い調子を崩していきがちだが、三笘の精神に乱れはなかった。相手ボールに転じてもマイボール時と変わらぬ反応で、プレッシングに貢献。これでは、見せ場は減っても総合的な評価は下がりにくい。

 この日もブライトンは、17位のイプスウィッチ相手に苦戦した。ボール支配率こそ6対4で勝ったが、ボールを失った瞬間、相手に有効な反撃を許すだけの余力を与えていた。

 三笘も見せ場をつくれずにいた。ボールに触れる機会そのものも決して多いとは言えなかった。危ういパターンにはまりそうな雰囲気のまま、後半も序盤が過ぎようとしていた。

 だが、三笘はそれでもヒーローに輝いた。後半14分、右CBヤン・ポール・ファン・ヘッケ(オランダ代表)、右SBジョエル・フェルトマン(元オランダ代表)、MFヤシン・アヤリ(スウェーデン代表)を経由したボールが右サイドを回り、MFマット・オライリー(デンマーク代表)の足もとに入った。シュートかと思われた次の瞬間、脇で構える三笘にラストパスが回ってきた。

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