久保建英が国王杯で見せた圧倒的プレー ソシエダのレジェンドはメッシと比較していた (2ページ目)
【敵を警戒させてチームを優位に】
60分、自陣でボールを受けた久保は、カウンターを発動している。ひとりをひらりとかわしたあと、ふたりがかりで追いすがられる。どうにか止めようとするディフェンスがラグビーまがいのタックルを仕掛けてきたが、瞠目すべき推進力で前に出る。ふるい落とすように、ふたりを置き去りに。オヤルサバルへのパスからのバレネチェアのシュートはVARで取り消されたが、久保の真価が見えた。
〈止められない〉
そんな存在になりつつある。ポゼッションであろうが、カウンターであろうが、どんなスタイルにもフィットできるほど圧倒的だ。
「あえて言えば、タケはメッシに一番似ているよ。ボールを運び、ゴールに向かい、アシスト、もしくはシュートのところでバリエーションが多い。ほとんど生来的に周りと協調し、プレーの可能性を広げられる」
ロペス・レカルテが、久保をリオネル・メッシと比較していた言葉を思い出す。
レカルテは1990年代から2000年代にかけ、10シーズン以上、ラ・レアルの左右のサイドバックとして320試合に出場。2003-04シーズンのクラブ史上初のチャンピオンズリーグでベスト16進出に貢献した。
ラ・レアルのオールタイム・ベストサイドバックが久保をメッシと比較したことは重要だった。
「タケをどう止めるか? 正直、相当に苦労するだろう。ボールを持たれたら、アドバンテージを取られてしまう。ディフェンスとしては距離をとって、彼のアクションに反応するしかない。近い距離からフェイントで動かされると、背後を取られるからね。でも、自由を与えてしまったら......メッシもそうだったけど、タケは左足がすごいんだけど、右足でも繊細なキックやコントロールができる。左足一本ならどうにか守れるんだけど、両足だと......」
守るほうとしては、久保は「手持ちカードが多すぎる」のだろう。
ラージョ戦の久保は、ピッチに立つだけで敵を警戒させ、チームに優位を与えていた。たとえパスが通らなくても、そこで生まれた混乱から味方がシュートに持ち込んだシーンも一度ではない。オラサガスティのスーパーミドルも、久保が前線で潰されるなか、それでもチームとして前に矢印を持ったパスを入れ続けたことで決まっていた。
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