プレミアリーグで輝きを放つ「カウンターのスター」メガクラブ打倒を可能にするエースたち (3ページ目)
【メガクラブ打倒は夢ではない】
ウッドと同じく11ゴールを叩き出しているブライアン・ムベウモ(ブレントフォード)も、カウンターのスターとして注目されている。
ブレントフォードは第19節時点で12位と順位を落としているが、以前は上位に食い込んでいた。その旗頭がムベウモだ。
フランス生まれの25歳。フランスのアンダー世代代表だったが、カメルーン代表を選んだ。171㎝と小柄ではあるが体格がよく、パワーとスピードに恵まれている。ウッドとは違ってウイングまたはセカンドトップのポジション。左利きで右サイドを主戦場とする技巧派だ。プレスを外してカウンターの流れを作り、さらにカットインからの左足のシュートがすばらしい。
チャンスを作る、チャンスを決める能力が非常に高く、利き足は違うがアタランタのエースでナイジェリア代表のアデモラ・ルックマンにも劣らない欧州屈指の才能の持ち主だ。トリッキーなボールタッチ、ドリブル、パスでの打開力に優れ、カウンターでその威力を発揮している。
ブレントフォードでは同じフランス生まれのヨアヌ・ウィサ(コンゴ民主共和国)と強力コンビを組む。この2トップも献身的な守備を見せ、引く時には自陣ペナルティーエリアの外まで下がって守る。そこから敵陣へ駆け上がって、フィニッシュへ持っていく走力があるのはウッドと同じ。
現代のカウンター型チームにはこの手のアタッカーが必要で、その人材を得ているチームにとって打倒メガクラブは全く夢ではなくなっている。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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