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プレミアリーグで日本人FWは成功できないのか 開花が期待される23歳以下の本格派ストライカー4人 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【オランダで赤マル急上昇中の19歳】

 いわきFCの熊田直紀(20歳/181cm)も、天性のジャンプ力を利した空中戦に秀でている。クロスに飛び込むタイミングも申し分ない。

「筋トレが好きです」と公言するように、日々の鍛錬を惜しまない。ただ、過剰なトレーニングと栄養の摂取が、サッカーに不要な筋肉を身にまとうリスクも小さくはない。監督やコーチのアドバイスに耳を傾け、適度な休養を挟みながらプロ仕様の身体を作ることだ。

 今年1月、FC東京からベルギーのゲンクにローン移籍したのち、8月にはいわきFCに新天地を求め、ややトーンダウンした印象もある。しかし、まだ20歳。若い時の苦労は買ってでもせよ──との諺(ことわざ)もある。2023年のU20アジアカップでは5得点で得点王に輝いた。熊田の決定力は伊達ではない。

さて近ごろ、NECの塩貝健人(19歳/180cm)の名前が突如としてクローズアップされている。

 今シーズンからオランダのNECでプレーする19歳の新進気鋭は、10月29日のカップ戦、ズヴォレ戦で衝撃的なゴールを決めた。ペナルティボックス内の右端で、塩貝はボールに追いついた。ゴールとの角度をふまえると、プレーの選択肢はクロス。ところが彼は、ニアサイドを強烈にぶち抜いた。GKは一歩も動けない。

 この強引さこそが、いい意味での自己満足感こそが、日本人ストライカーに求められて久しい感覚だ。シュートを撃つ場面でパスしたり、周囲を見回したり、ペナルティボックス付近になると「石橋を叩いても渡らない」者が少なくない。

 相手守備陣が最も嫌がるのは、多少ラフでも積極的にシュートを撃つ荒くれ者だ。決断力に乏しいタイプは簡単に対応できる。塩貝は生まれながらにして、ストライカーの要素をすべて備えているのかもしれない。

 現在の日本代表は高度な技術を誇っている。12月1日現在でFIFAランキングは15位。多くの主力が年齢的にピークを迎える2026年の北中米ワールドカップでも、世界をさらに驚かせるかもしれない。

 ここに、ひとりでも肉体派のストライカーが加われば、さらにさらに驚かせることも十分に可能だ。鋼の肉体を持つ若者の覚醒に期待する。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

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