久保建英をレアル・ソシエダのご意見番が称賛 「あとはこの戦いをタフに続けられるか」
12月1日(現地時間)、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)は、アンダルシアの雄、ベティスを2-0と下している。そのベティスを抜いて9位に浮上した。
ラ・レアルの久保建英は、マッチMVPに選出されている。得点、アシストを記録したわけではない。シュート数の少ないじりじりした試合展開で、チームプレーヤーとしての貢献度が高く評価された形だろう。試合終了直後はピッチの上に転がって、チームメイトにつりかけた足を伸ばしてもらうほどの奮闘ぶりだった。
守備に回った時、久保は元バルセロナのアタッカー、アブデサマド・エザルゾウリの突破にしっかりと蓋をしていた。常にサイドバックと連係しながら、相手の攻撃を分断。献身的な動きで、少しも怠けることがなかった。
一方、攻撃では右サイドでボールを受け、並はずれたキープ力で起点になっていた。直接のアシストではなかったが、オヤルサバルがPKを得たシーンは、久保がロングボールを右サイドで確実に収め、ワンツーを狙ったところから生まれていた。司令塔マルティン・スビメンディにパスコースを与えながら、細かいポジションの変更で相手より優位に立った。
攻守両面をコントロールし、少しもサボっていない。
こうした一戦で、すべてを出し尽くして勝ち点をもたらせる選手こそ、ビッグクラブでも求められる。
ベティス戦で勝利に貢献、MVPに選ばれた久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る「今シーズンのバルサ戦で、タケは驚くようなプレーをしていた。バルサを相手に、あれだけのダメージを与えられる選手は少ない。しかし、これからは重なる疲労をコントロールしながら、力を使いきるプレーができるか」
ラ・レアルで約20年、強化部長や育成部長を歴任しているミケル・エチャリは、そう暗示的に語っている。
「強敵に対し、あれだけのプレーができるのは、タケの実力と言える。ただ......たとえばヨーロッパリーグのプルゼニ戦は"手を抜いていた"というのとは違うが、バルサ戦と同じ気持ちでは入っていなかった。過密日程の疲労もあるのだろうが、プルゼニ戦のようなプレーでは、チームを勝たせることはできない」
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。