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「解任されてから知念がLINEをくれた」日本を去る鹿島前監督ランコ・ポポヴィッチ最後の言葉 (2ページ目)

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko

――5月の月間優秀監督賞受賞からの夏場の失速はどう見ていたのか。

「海舟が移籍し、知念も体調不良、そしてチャッキー(アレクサンダル・チャヴリッチ)が2カ月以上のケガを負ってしまった。重要な選手が3人ピッチからいなくなった。そうなるとさすがに対応は厳しくなりました。プロとして言いますが、間違いなく先発とベンチの差はあります。すべての選手が同じクオリティではない。5人の交代が認められてから、ベンチのメンバーが充実しているところが強いチームということになってきました。チャッキーをベンチに置いていたのはそういう理由で、新しいエネルギーを後半に注入するためです。彼は先発でないことに最初は不満だったかもしれませんが、やがて理解をしてくれました」

――キャリアハイを出した選手も多いが、それぞれの選手たちに対して感じていたことは。

「(鈴木)優磨は日本人らしくない強い責任感とメンタルを持っていた。チャッキーとの関係が特に良かった。師岡(柊生)はハードワーカーです。無駄を削いでいけばもっと良くなる。名古(新太郎)は最初はボランチで使いました。彼は状況判断や流れを読むセンスがある。守備のスイッチを入れるタイミングやスペースを立ち位置で消すのも効果的だった。トレーニングでいろいろやらせて、周りも活かせながら、自身も活きるのはトップ下だった。徳田(誉)はキャンプの時から才能に注目していました。彼はボックス内で決めきれる。ゴールを決めた広島戦は練習を見ていて直前にベンチ入りを決めました」

――解任を吉岡宗重フットボールダイレクターから告げられたときの内心はどんなものだったか。

「吉岡さんも任を解かれました。そのことが気になったので、『私を選んだことを後悔していないか』と聞きました。彼も私を抜擢する上で友だち人事という批判を受けていました。『全然、後悔などしていない。一緒に仕事ができて良かった』と彼は言ってくれました。それですっきりしました。サポーターも含めて私に期待してくれた人を裏切りたくないという気持ちで、全力でこの1年を捧げてきました。だから川崎や神戸に勝ったのは特別なことではなく、日々の練習の結果に過ぎません」

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