久保建英がリバプールに移籍すればスーパーサブ? 堂安律はニューカッスル、中村敬斗はトッテナムも悪くない (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【絶好調サラーの後継者探しは急務】

 さて、この夏も久保はリバプール移籍が有力視されていた。世界に冠たる名門に、南野拓実(モナコ)、遠藤航に続く3人目の日本人となれば胸が躍る。

 もちろん、高い壁はある。久保がポジションを争うのはモハメド・サラーだ。今シーズンも絶好調で、8得点6アシストはともにリーグ2位。クラブの首位快走に貢献している。リバプール所属後8年の全データも165得点74アシスト。得点王3回、MVP1回と、まさにリヴィング・レジェンド(生ける伝説)である。

 ただ、来年6月で切れる契約を11月中旬の段階で更新していない。今年6月で32歳になり、後継者の獲得が急務だ。今夏に獲得したフェデリコ・キエーザはケガが多すぎる。将来を嘱望されているハーヴェイ・エリオットも足首の脱臼骨折により、負傷者リストに長らく名前が書きこまれたままだ。

 こうした事実に伴い、リバプールが右ウイングの補強を図るのは至極当然で、そのなかのひとりに久保がリストアップされたと考えられる。

 仮に1月の移籍が実現しても、しばらくの間はサラーのバックアップだ。プレータイムは短く、それでも答えを出さなければならい。敗れた場合は、スケープゴートとして批判が集中する。世の中とはそういうものだ。

 ただ、1月からの5カ月を準備期間に設定し、来シーズン以降に本領発揮という中長期的な考え方も悪くない。

 もちろん、サラーの負担を軽減するスーパーサブとして即フィットできれば、サポーターは大喜びだ。かつてリバプールではルイス・スアレス(現インテル・マイアミ)が、フィルジル・ファン・ダイクが、周囲と連係を図る時間が少ないにもかかわらず、短期間でチームの軸になった。マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスも成功例のひとりで、その後の彼らの活躍はあらためて言うまでもない。

 今回のテーマは、「ステップアップ」である。久保も堂安も中村も、現在と同等もしくは下まわるようなクラブに新天地を求めてはいけない。ハードルが高かったとしても、クリアすることによって、自らの存在価値もさらに上昇する。

 決して安売りするなかれ──。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

【図】久保建英が入るポジションは?リバプールほか欧州サッカー注目クラブのフォーメーション

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