南野拓実はモナコを全体4位に。チャンピオンズリーグ出場の日本人8人の活躍度を個別評価 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki

【特筆すべき荻原拓也の活躍】

 国内リーグを含めると上田はこれで3戦連発だ。当たっていることは確かである。しかし、気になるのはプレー機会の少なさだ。日本代表でもそうだが、パス回しにはほとんど関与せず、ゴール前でひたすら獲物を待つ。おこぼれを狙う、よく言えば典型的な点取り屋タイプである。想起するのは1982年W杯の得点王パオロ・ロッシ(イタリア代表)だ。

 ただし故障で離脱中のエースストライカー、サンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)のような本格派ストライカーではない。彼が戦列に戻った時、どれほど出場機会を得られるか。この日は後半30分までプレー。採点すれば7だった。

 活躍した選手をもうひとり挙げるならば、ディナモ・ザグレブの荻原になる。ザルツブルクとのアウェー戦に3-5-2の左ウイングバックとして後半33分までプレー。採点で7は出せる出来栄えだった。

 この選手は懐が深い。左利き半身の態勢から巻くような、カーブのかかったキックを、けれん味なくシュアに蹴ってくる。後半4分のシーンは、この日4本目に当たるクロスボールだった。ディナモ・ザグレブに先制点が生まれたのはそのふたつ先のプレー。アイスホッケーならダブルアシストがついていた可能性がある。

 荻原はこの試合で、もう1本、決定的な左足キックを蹴っている。後半21分のシーンだ。1トップ、サンドロ・クレノヴィッチ(U-23クロアチア代表)に蹴った縦パスが通ったかに見えた瞬間、ザルツブルクのGKアレクサンダー・シュラガー(オーストリア代表)がたまらずに止めてしまい、一発レッドに処されたのだ。なんといってもキックの精度が高かった。

 このディナモ・ザグレブの2-0の勝利と荻原の存在はかなり密接な関係にある。現地の音声では、実況アナウンサーが荻原を誤って日本代表と紹介していたが、現在、長友佑都が入っている枠は荻原に渡すべきだろう。

 悩ましいのはアタランタとアウェー戦を戦ったセルティックの3人だ。結果は0-0の引き分け。結果は及第点かもしれないが、セルティックの貧弱さが露わになった一戦でもあった。そのなかで古橋はスタメン落ち。上田を上回る活躍をし、代表復帰をアピールしたかったはずだが、出番が回ってきたのは後半23分を迎えた段だった。

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