林陵平がプレミアリーグで今季も好調のアーセナルの進化を解説 「攻守4局面をしっかりデザイン」 (3ページ目)

  • text by Sportiva

【プレスも相手によって使い分け】

 守備は昨季からそうですけど、やっぱりハイプレスのクオリティがアーセナルは本当に高いですね。

 相手が4-3-3の時のハイプレスの仕組みを説明します。今季特徴的なのが、前線のハヴァーツとトロサールが、相手のふたりのCBを捕まえに行くところ。そうなると中盤がライスとトーマスのふたりに対して相手が3人になり、アンカーが空いてくるんですが、ここはライスが捕まえに行きます。すると後ろが1対2の状況になりますが、ここがやはりライスのよさというか、ひとりで2人を見られるんです。

 アンカーに行って後ろに通されたとしても、すぐに戻れるだけの機動力があります。また前に行った時は何度インターセプトしたことか。ここの守備能力が本当に高いですね。

 また、相手をサイドに追い込んだ時、空きやすい逆サイドのインサイドハーフは、マルティネッリなど逆サイドのウイングが捕まえる形。相手のインサイドハーフが高い位置をとった時はCBが出てきて捕まえるなど、このあたりもすごく整理されています。

 こうなると基本的にはほぼマンツーマンの形なんですが、これによって相手はマークのズレを作りにくく、ビルドアップの際にボールの出口を探しづらくなっています。

 もうひとつのプレッシングのスタイルとしては、ハヴァーツがアンカーへのパスコースを見て、トロサールが相手右CBへ。左のCBにはサカが外側へのパスコースを切りながらプレッシャーをかける形もあります。もし、外側の相手(左SB)にパスが出た時には、右SBが縦にスライドして捕まえに行く。こうしてプレスのかけ方も相手によって結構使い分けています。

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