バルサ開幕4連勝&バルサBで16歳のスター候補誕生 新指揮官のもと伝統の下部組織出身者が躍動 (3ページ目)
「フリックの信頼のおかげで、気持ちが解放されてプレーできるようになっているよ。選手は何をすべきかわかっているから、不必要なプレッシャーがない。地に足をつけてプレーできるんだ」
フリックは選手のスカウティング力も高い。現状、抜擢された選手は及第点以上の働きを示している。一時は放出リストに名前が挙がったラフィーニャを左サイドに置いて得点力を引き出し、同じくエリック・ガルシアは、センターバックとしては致命的な弱さがあるも、マルク・ベルナルの代役(前十字靭帯断裂で約1年の離脱)としてアンカーで起用した。
そしてフリックの"隠し玉"とも言えるのが、メッシから背番号10を継承したアンス・ファティだろう。
昨シーズン、ファティはプレミアリーグのブライトンにレンタル挑戦するも、三笘薫とのポジション争いに完敗した。トップ、トップ下でも定着できなかった。最後はたび重なるケガにも悩まされるなど「終わった」と囁かれ、一時は放出リストに入っていた。
しかし、フリックは"ラ・マシアの最高傑作"に再び10番を与えた。足裏のケガでトップチーム帯同が遅れていたが、代表ウィークで合流。練習ではアクロバティックなシュートも見せ、週末のジローナ戦のメンバー入りが有力視される。シュート技術は今も世界屈指と言われるだけに......。
現時点でフリック体制は順風満帆だ。10月にはガビも靭帯断裂の大ケガから復帰が予定され、さらに戦力は整う。
一方で、来週からは新形式のチャンピオンズリーグも開幕。試合が増え、ストレスも増し、若い選手が1シーズンを戦うのは簡単ではない。これからがフリック・バルサの本番だ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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