レアル・マドリード番記者の今季安心理論「エムバペはロッカールームでうまく馴染んでいる」目指すはシーズン7冠 (2ページ目)

  • ミゲル・アンヘル・ディアス●取材・文 text by Miguel Ángel Díaz

【複数選手の「左流れ」をアンチェロッティはまったく心配せず】

 また、今季は複数の選手が左サイドに流れる傾向にあるが、アンチェロッティはまったく心配していない。いくつかの試合で見られるように、ヴィニシウス・ジュニオール、キリアン・エムバペ、ロドリゴにとって好ましいポジションは左サイドだ。しかし、「我々はヴィニがあのようにプレーしてチャンピオンズリーグ(CL)を2度制覇しているので、今季もそれを変えるつもりはない」と断言している。

 自分の直感を信じ、成功を収めてきたイタリア人指揮官は、選手たちに攻撃の自由を与えている。せいぜい、ピッチのどのエリアからプレーを開始するかを指示するくらいで、それ以外は選手たちの動きや共存に干渉することはない。各々が力を存分に発揮できる場所を判断できると確信しているのだ。

 しかし、守備となると話は別だ。アンチェロッティは、"自分がどのゾーンをカバーすべきか"を選手自身が理解することを望んでいる。たとえばロドリゴはつなぎ役を務めながら右サイドをカバーし、ベリンガムはフェルラン・メンディをサポートするために左サイドに開く選手だ。

 そしてアンチェロッティは何よりも大事なこととして、ロッカールームで選手たちに「全員が必ず走り、自分の任務を遂行しなければならない。そうでなければ守備システムが崩壊してしまう」と主張し続けている。ロナウド(ブラジル)の時のように、監督が選手のひとりを守備の仕事から解放するという贅沢が許された時代ははるか昔に終わっている。

 レアル・マドリードは今季、懸念材料のひとつに挙がるセンターバック(CB)に関して、最終的に今夏の移籍市場では動かないという非常にリスキーな決断を下した。昨季予想以上の活躍を見せたスペイン代表FWホセルのように、経験豊富なCBを1シーズンのレンタルで補強するのがいい方法だったと思うが、その選択もしなかった。

 補強リストに載せていたフランス人DFレニー・ヨロ(マンチェスター・ユナイテッドに加入)との契約に本腰を入れなかったあと、アンチェロッティは「ハコボ・ラモンやラウール・アセンシオ(ともにBチームのカスティージャ所属)は飛躍する準備ができている」と、チーム内に解決策があることをマイクの前で明言した。

 負傷中のダビド・アラバにプレッシャーをかけるつもりはない。復帰は早くとも11月以降になる見込みだが、左ヒザの前十字靭帯断裂に加えて軟骨にも損傷があり、32歳という年齢も考慮すると、今後のパフォーマンスには疑問が残る。レンタルバックのヘスス・バジェホについては公言していないものの、ビッグマッチを戦えるレベルにはないと考えているようだ。

 それでも、エデル・ミリトンとアントニオ・リュディガーが中・長期のケガをしない限り、すべてうまくいくだろう。シーズンは非常に長いが、チュアメニは日を重ねるごとにCBの動きを身につけており、別の選択肢として、昨季見られたようにダニエル・カルバハルやメンディがそのポジションを務めることもできる。

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