南野拓実所属のモナコの本拠地「ルイ2世スタジアム」は世界中から富裕層が集まる街の観光名所
欧州サッカースタジアムガイド2024-2025
第10回 ルイ2世スタジアム(スタッド・ルイ・ドゥ)(Stade Louis II)
ロンドンのウェンブリー・スタジアム、マンチェスターのオールド・トラッフォード、ミラノのジュゼッペ・メアッツァ、バルセロナのカンプ・ノウ、パリのスタッド・ドゥ・フランス......欧州にはサッカーの名勝負が繰り広げられたスタジアムが数多く存在する。それぞれのスタジアムは単に異なった形状をしているだけでなく、その街の人々が集まり形成された文化が色濃く反映されている。そんなスタジアムの歴史を紐解き、サッカー観戦のネタに、そして海外旅行の際にはぜひ足を運んでもらいたい。連載第10回目はルイ2世スタジアム(スタッド・ルイ・ドゥ)。
地区に溶け込むようにデザインされたルイ2世スタジアム(スタッド・ルイ・ドゥ) photo by PA Images/AFLOこの記事に関連する写真を見る フランス東南部、地中海沿岸のイタリア国境近くに位置する、世界で2番目に小さい2キロ平方ほどの面積しかないモナコ公国。F1サーキットやカジノで世界的に有名で、気候的な要因と税制が優遇されているため世界中からお金持ちが集まっている。そんなモナコ公国にある唯一のプロサッカークラブが「ASモナコ」こと、「モナコ・サッカー・クラブ(Association sportive de Monaco Football Club、略称ASM)」である。
モナコは地理的、歴史的、文化的関連の強いフランスのリーグ・アンに所属しており、フランス代表としては、現在はU21フランス代表の指揮官ティエリ・アンリや、フランス代表のキリアン・エムバペなど、多くのフランス代表を輩出してきたことでも知られている。
現在では日本代表の森保一監督の下では一番得点を挙げているFW南野拓実が2022年からプレーしており、南野の活躍もありモナコは、昨シーズンのリーグ戦は2位でフィニッシュし、今シーズンはチャンピオンズリーグに本戦から出場する。
そんなモナコが設立されたのは、モナコ公国がフランスの保護下に入った翌年の1919年のことだった。スタジアム名に名が残るルイ2世の後押しもあり、地元のクラブとフランスのクラブも含めて誕生。1924年には総合スポーツクラブへと統合され、1948年にプロクラブ化し、1953年からフランスの1部リーグに昇格した。
1960年代からタイトルを獲得していたが、1980年代から1990年代にかけて、モナコ公国をバックとした豊富な資金力でトップクラブとしての地位を確立。リーグ戦を4度優勝し、3度のクープ・ドゥ・フランス(フランス・カップ)を制した。2004年にはチャンピオンズリーグ決勝にも進出している。
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プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。