南野拓実所属のモナコの本拠地「ルイ2世スタジアム」は世界中から富裕層が集まる街の観光名所 (3ページ目)
海岸沿いに建っているスタジアムは外から見ると、まるで普通のビルのようにしか見えないのが大きな特徴となっている。スタジアムの近くを通っても中にピッチがあるとは思えないほどだ。レーニエ3世が建築的な観点からこの地区に完璧に溶け込むものにしたいと考えた結果だという。
さらにスタジアム内部は合理的で、すべてのスペースを最大限に活用できるように考慮され、スタジアムの下に当たるビルにはトレーニングセンターや体育館、現大公アルベール2世の名のついたプールなどのスポーツ複合施設があり、レストランや大学などの施設、行政サービスを提供する事務所、モナコのオリンピック委員会を含む20のスポーツ協会の本部、大学、駐車場などもある。
またスタジアムのピッチは105m×68mの天然芝である。道路から8.35メートル高い位置にあり、駐車場の屋根の上にピッチがあるという珍しい設計となっている。このため、ピッチに多くの問題を抱え、太陽の光を再現し、ピッチの質を担保するためのシステムを導入した。
スタジアムの内部には、サッカーのスタジアム以外にもバスケットボール、バレーボール、ハンドボールの試合、柔道やフェンシングの試合、ウェイトリフティングや体操の競技が行なわれる屋内競技場もあり、モナコ出身の陸上競技選手の名にちなみ「サル・ガストン・メドゥサン(Salle Gaston M?decin)」という名がついている。収容人数は、ユーロリーグのバスケットボールの試合を開催するために2021年に4,090席に拡張され、さらに2022年シーズン前に5,000席に拡張されている。
モナコの人口が少ないため、スタジアムは常に満員というわけにはいかないが、フランスリーグ屈指の強豪クラブの特徴的なスタジアムとして観光地のひとつにもなっている。
多くの名FWが在籍してきた強豪クラブの系譜に「TAKI(タキ)」こと南野がしっかりとその名を残していることは間違いない。今シーズンもTAKIが「ルイ2世スタジアム」のゴールネットを揺らし続けることになるはずだ。
著者プロフィール
斉藤健仁 (さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。
【画像】デザインが機能的 1974西ドイツW杯&ユーロ1988のチケット
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