コパ・アメリカ2024で大輪の花を咲かせるハメス・ロドリゲス「絶滅危惧種の10番」はこうして生き残った (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【10番が人々を幸福にできる瞬間は辛うじて残されている】

 折しもコパ・アメリカ開催中に、ウルグアイのマルセロ・ビエルサ監督は、次のように発言していた。

「サッカーは衰退の一途を辿っていると確信している」

 その理由は、"サッカーがビジネスになって久しく、人々の文化やアイデンティティーに根ざして幸福を与えられるものではなくなっているからだ"という。実は、こうした言説は定期的に誰かから発せられてきている。

 近年のサッカーは、あまりにも大きな利権が絡みすぎ、脅迫的な勝利至上主義や理屈づくし、体力任せになってしまった感は否めない。合理的すぎて、それを超えるものがあると信じなくなった。

 計れない、見えないものは「ない」のと同じだと。10番が生息しにくくなった理由でもある。

 しかしそれでも、人々を幸福にできる瞬間はまだ辛うじて残されていることを、ハメスは示してくれたのではないだろうか。

著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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