ユーロ2024、前回王者イタリア敗退の原因は駒不足と作戦ミス サッカー強国の座から転落した節目の日に (4ページ目)
スイスが左で数的有利な状況を作り出し、そこでのパス交換がなんとも利いていた。一般的な5バックのチームの戦術にはとても見えないプレーである。イタリアにはまったく存在しない発想でもある。「左」は気がつけばスイスのストロングポイントと化していた。よって、キエーザはその守備に追われることになった。キエーザが低い位置で構えている限り、スイスの脅威にはならない。
駒不足と作戦負け。あとから振り返ったとき、この試合はイタリアが強国の座から転落した節目となるのかもしれない。イタリアは長期低落傾向に歯止めを掛けることができなかった。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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