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ユーロ2024屈指の好カード カギはヤマル擁するスペインの「右」対イタリアの「左」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【イタリアは左ウイング不在の4-3-3】

 イタリアの4-3-3が左右非対称な並びであることは、パッと見ただけで明らかになった。マイボールに転じると、ディマルコが高い位置を取り3バック然となる。その分、左ウイングのペッレグリーニが内に入り、事実上のトップ下として構えた。ペッレグリーニは所属クラブであるローマでも、真ん中でプレーする機会が断然多い選手だ。典型的なウインガーではまったくない。

 左ウイング不在の4-3-3。これがイタリアの事実上の布陣だ。この傾向は、ペッレグリーニがベンチに下がった後半32分以降も続いた。それまでインサイドハーフのバレッラがその役を引き継ぎ、最終盤にバレッラと交代で投入されたマイケル・フォロルンショ(ヴェローナ)も、前任のふたりと同様の役割を果たしていた。

 このルチアーノ・スパレッティ監督の特異な作戦に、アルバニアはまるでつけ込むことができなかった。前半11分、CKからバストーニにヘディングで同点弾を許すと、その5分後にはバレッラに逆転弾を浴びた。

 しかし、イタリアはこの2点で打ち止めとなった。B組で最弱と目されるアルバニア相手に最少得点差でしか勝利を収めることができなかった。苦戦の最大の原因がこの変速システムにあるとまで言うつもりはないが、キエーザのウイングプレーが光った右と比較すると、左サイドからの攻めは見劣りした。

 次のスペイン戦にこのサッカーで臨むと危ないとは率直な感想だ。イタリアの左は、スペインのストロングポイントである右と対峙する関係にあるからだ。

 イタリアの左対スペインの右。イタリアはスペインの右サイドからの攻撃をどう封じるか。見どころはここになる。

 スペインが初戦を戦った相手はクロアチアで、結果は3-0だった。これでスペインは、アルバニア相手に1点差勝ちに終わったイタリアより楽な立ち位置となった。もはやグループリーグは通過したも同然と言っても言い過ぎではないだろう。

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