ユーロ2024屈指の好カード カギはヤマル擁するスペインの「右」対イタリアの「左」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【カギを握る右ウイングのヤマル】

 クロアチア戦のスタメンに名を連ねた11人は以下のとおり。

 GK/ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)、左SB/マルク・ククレジャ(チェルシー)、CB/ロビン・ル・ノルマン(レアル・ソシエダ)、ナチョ(レアル・マドリード)、右SB/ダニエル・カルバハル(レアル・マドリード)、アンカー/ロドリ(マンチェスター・シティ)、インサイドハーフ/ペドリ(バルセロナ)、ファビアン・ルイス(パリ・サンジェルマン)、左ウイング/ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ)、CF/アルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)、右ウイング/ラミン・ヤマル(バルセロナ)。

 マンオブザマッチを挙げるならGKのシモンだろう。クロアチアのMFマテオ・コバチッチ(マンチェスター・シティ)の狙いすましたシュートを好セーブで阻止するなど、完封劇に貢献。3-2でもおかしくない試合を3-0で終えた立役者になる。

 次は1ゴール、1アシストの活躍を演じた左利きのMFファビアン・ルイス。前半29分、モラタに出したスルーパスといい、その3分後に、懐の深さを生かした大きな切り返しからネットを揺るがした2点目のゴールといい、スペインのMFらしい高級感溢れるプレーだった。

 その傍らでプレーしたペドリも、他国の選手とはひと味違う高級なプレーを幾度か披露したが、それ以上に目を引いたのは16歳の右ウイング、ヤマルだった。イタリア戦のカギを握るスペインのストロングポイントである。

 今大会を彩る左利きの右ウイングといえば、ブカヨ・サカ(イングランド)、ウスマン・デンベレ(フランス)、レロイ・サネ(ドイツ)、ベルナルド・シウバ(ポルトガル)を想起するが、ヤマルもすでにそこに加わる欧州を代表する右ウイングと言っていい。勢い、新鮮さという点では上記の選手らを上回る。

 スペインといえば、やはり連想するのはうまいMFだ。それに比べるとウイングはこれまで人材不足だった。うまい中盤に加え、ウイングにも圧倒的な存在感を発揮する強烈な選手が現れれば鬼に金棒。クロアチアは実際、そのインパクトに圧倒されることになった。

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