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槙野智章が欧州でプレーしてみたら驚いたこと 海外組が見えないところで戦っている文化ギャップとは (2ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yoshizaki Eijinho

【柔らかいピッチの洗礼】

 しかし......ケルンでの初練習で槙野がぶち当たったのは、想像もしない壁だった。それもピッチでボールを蹴る前に起きた出来事だ。

「えっ? おまえ、やる気あんの?」

 槙野が持っていた固定式スパイクに、チームメイトの目線が突き刺さった。

「グラウンドがすごいぐじょぐじょで、ゆるゆるだったんですよ。みんな取替式のスパイクを履いていて......ヨーロッパの環境って、ものすごい綺麗な芝生がいっぱいあって...って想像していたんですけど、違った。日本ってめちゃめちゃ芝とか練習環境が整っていたんだなって。すごいなんか大きなショックというか......」

 ほかの日本人プレーヤーの多くもぶつかる、欧州の柔らかいピッチの洗礼だった。日本で育った槙野には、練習中から取り替えスパイクを履く感覚がなかった。

「雨の日の試合で、仕方なしに履くというチョイスをするものだと思っていました」

 しかも経験したことがないピッチでのトレーニングでは、思わぬ"副作用"もあった。

「1回の練習の負荷がかなりすごかったんです。下半身だけじゃなくて、上半身のところまですごくきた。『うわ、すごいキツイな』みたいな。ただそれは、自分が求めていたものでもありました」

 日本ではまったく経験したことのないものを知る。そういった点も求めて移籍を決意した。柔らかいピッチでの疲れも心地よいものだった。「体に対してどういう影響があるのか」と自分で確かめていくプラス思考で、ひとつずつ克服していった。

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