中井卓大、王者レアル・マドリードに復帰するも...プロとして価値が問われる正念場に (2ページ目)
【チームは最下位で4部に転落】
そこで今シーズン、カスティージャと同じ3部で下位のラージョ・マハダオンダにローン移籍した。しかし、当初から見通しは厳しかった。
「テクニックレベルは高い。しかしコンディションを含めて、フィジカル的にまだプロでは準備が不十分。プレーに波が出るだろう」
マハダオンダ関係者から聞こえてきた言葉は、シーズンを暗示していた。結果、19試合に出場も、ほとんどが途中出場、先発はわずか6試合だった。
体を張る姿など肉体的な向上も見られたが、チームにフィットしていない。たとえば、果敢にプレスに行って、背後を取られて失点。あるいは、ドリブルでひとりを外して技術レベルの高さは見せても、味方に強引にミドルシュートに持っていかれてしまう。単純に、チャンスボールを呼んでも来なかった。今年5月のウニオニスタ戦では、途中出場でボールを運び、エリア外から際どいミドルを放ってバーをかすめたように、キックの精度は1部リーグレベルなのだが......。
結局、中井はローンが終了し、レアル・マドリードに戻っている。しかし、"栄光の帰還"とは言えない。最下位で4部降格が決まったクラブで定位置をつかめなかった、という事実は重い。レアル・マドリードとの契約は2025年6月末まで。カスティージャで再挑戦させるのもひとつの手だが、はたしてその猶予が与えられるのか。
来シーズンも3部のカスティージャはラウル・ゴンサレス監督が引き続き指揮をとる可能性が高い。ラウルは「中井の才能に惚れ込んでいた」と言われるが、一昨シーズンは戦力外同然に扱っていた。ボランチとしては守備が弱く、トップ下としては得点力や打開力が乏しく、「ポジションがなかった」とも言われる。
来季は、ポジション的ライバルになるニコ・パスやテオ・ジダンなどはローンが濃厚だけに、中井にもチャンスは与えられるか。ただ、U-19スペイン代表セサル・パラシオスのように10代の選手も台頭。欧州では21歳が育成年代の最後となるだけに、中井はプロサッカー選手としての価値が問われる。
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