鎌田大地の残留の決断を心待ちにするラツィオ 最大のライバルはクリスタルパレスか (2ページ目)

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【インテル戦で最高の評価】

 しかし、ラツィオの指揮官イゴール・トゥドールというファクターも鎌田の未来にとって重要なものであるのは確かだ。トゥドールはサッスオーロ戦の前に記者会見でこう明言している。

「彼の望みはラツィオに残ることのようだ。とにかく数日以内に決断するだろう」

 トゥドールは鎌田を評価し、リスペクトし、ことあるごとにそれを彼に伝えようとしている。

「私は彼のプレーが好きだ」「彼のメンタリティーは満点だ」「トレクアルティスタ(トップ下)としてもDFの前でも問題なくプレーできる」「頭のなかにコンピューターを持っているようだ」「他の選手も皆、彼のようだったら......」「鎌田が10人ほしい」「彼のような選手はどんな監督でも手に入れたいと思うだろう」......。

 トゥドールがラツィオのベンチに座ってから、鎌田はリーグ戦すべての試合にレギュラーとしてプレーしている。9試合1アシスト、そして今季優勝を果たしたインテルから奪った1ゴール。エリア外から放った美しい左足のシュートが、ヤン・ゾマーの守るゴール突き刺さった。

 このインテル戦での鎌田への評価は、ラツィオに来てから最高のものだった。昨年9月のナポリ戦での評価も高かったが、その後、マウリツィオ・サッリは鎌田からレギュラーの座を奪い、マテオ・グエンドゥージを重用した。しかしトゥドールはその反対だった。グエンドゥージを外して鎌田を入れた。それも中盤で創造性を発揮する存在として。レジスタ(司令塔)でもあり、時にゴールを急襲し、常に足元にボールを持つ。サッスオーロ戦では鎌田はトレクアルティスタとしてプレーしたが、それ以前の試合では司令塔としての動きをした。

 2022年10月、鎌田のフランクフルトは、当時トゥドールが率いるオリンピック・マルセイユとホームで対戦し勝利した。この試合、鎌田は開始早々、自らのゴールで先制点を挙げた。当時の鎌田は中盤でプレーしていたが、トゥドールはその試合で、鎌田の動きと前線に飛び出す力に感銘を受けたに違いない。トゥドールは、あの時の鎌田をラツィオで見たいのだ。

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