「シント・トロイデンは21番目のJ1クラブ」 立石敬之CEOが『0円移籍』させない理由 (6ページ目)

  • 中田 徹●取材・文 text by Nakata Toru

 エージェントは、選手をヨーロッパに連れて行かないと契約を切られてしまうから、何とかして移籍させようとする。しかし、選手は『0円移籍』でヨーロッパに行っても、大事にしてもらえない。サッカークラブは、投資した選手しか大事にしませんから。

『0円だったら獲ってやる』と言われているけれど、それで大丈夫なのか──。そのことを自分自身に一度、問いかけてみてほしい。

 私は0円移籍をなくしたい。私はJリーグ側の人間でもあるから、日本のサッカー界のために移籍金を払いたい。シント・トロイデンは彼らを1億円超えで買っているんです。その代わり、回収はしますよ。1億円で買った選手には『君を1億5000万円で売るつもりはない』と言ったりして、全部説明しています。

 そんなに大きな金額ではありませんが、Jリーグのクラブに1億円や1億8000万円を払って日本人選手を連れてくる──私たちの日本サッカーへの貢献は、そういうところからだと思っています」

<了>


【profile】
立石敬之(たていし・たかゆき)
1969年7月8日生まれ、福岡県北九州市出身。国見高校時代は国体・選手権優勝を経験し、卒業後にECノロエスチ(ブラジル)、ベルマーレ平塚、東京ガス、大分トリニータなどで活躍。現役引退後はエラス・ヴェローナ(イタリア)や大分、FC東京でコーチとなる。2015年からFC東京のGMとして手腕を奮い、2018年よりシント・トロイデン(ベルギー)のCEOに就任。現役時代のポジション=MF。

著者プロフィール

【写真】「No.1ドリブラー」中嶋淑乃インタビュー&プレーカット集

6 / 6

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る