「シント・トロイデンは21番目のJ1クラブ」 立石敬之CEOが『0円移籍』させない理由 (5ページ目)
さらに今年から、スタイエン・スタディオンにスカウト専用のスカイボックスを用意して、飲食しながら試合を見てもらい、シント・トロイデンのスカウトや強化部とディスカッションする。(立石CEOがエクセルで作ったリストを見せながら)これが先日、シント・トロイデンのホームゲームに来たクラブの一覧表です」
── 錚々たるクラブが並んでいますね。蛍光でマーキングしているクラブは?
「スカイボックスに入れるのは20人だけ。だけど30クラブが来たから、スカイボックスに入れるクラブを選ばないといけない。そのクラブをマーキングしています。残りのクラブは申し訳ないけれど、普通のスカウト席で見ていただきます」
── この仕組みの手応えは?
「手応え十分です。今、シント・トロイデンはヨーロッパの移籍市場で大人気なんです。アメリカのメディア(The Athletic)に『シント・トロイデンは日本の中心』という記事が載りまして、その反応がすごかった。最近もゲントやアンデルレヒトの会長から『シント・トロイデンはパイオニアだよね。世界中から問い合わせがシント・トロイデンに来る』と言われました。
日本の人は『ベルギーのクラブを買えば、日本人の選手を売れるよ』って言う。だけど、それは違う。『私たちは選手を売るために、みんなの100倍はやっている』と思って運営しています」
── 貴重なお話、ありがとうございました。
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その後もインタビューは大いに盛り上がり、話はさまざまな方面に飛んだ。最後に、そこで語られた立石CEOの想いをまとめてみた。
「『日本の企業がベルギーのクラブを買収すれば成功する』というのはありえない。一番大事なことは『キチンと選手を育てる』という仕組みを作ること。そしてもうひとつ大事なことは、Jリーグのクラブが欧州のクラブに選手を送り出す際、移籍金収入をキチンと得ること。
そのためにはクラブの努力も大事ですが、エージェントや選手たちの協力や理解が大事。これはサッカー界全体で取り組まないといけません。
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