久保建英のカウンターがPSG撃破のカギ CLベスト8進出へ「右サイドからの攻撃」が突破口となる (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【久保建英がPSG戦のキーマンとなる最大の理由】

 では、ラ・レアルはどのようにしてPSGを攻略すべきか。

 ひとつは、PSGのビルドアップ時にハイプレスを仕掛けることだ。特にGKドンナルンマの足もとの不安定さは相変わらずで、今シーズンも度々ビルドアップでボールを失ってピンチを招くシーンは多い。抜群のシュートストップ能力とは裏腹なその弱点を徹底して狙うべきだろう。

 もうひとつが、PSGが3-2-4-1に可変した時、いかに効果的なカウンターアタックを仕掛けられるかだ。特に3バックの左を担当するベラウドは、ヨーロッパ初挑戦の若手DF。将来有望なタレントではあるが、いかんせんまだ経験が浅く、デュエルにも強くない。つまり、ラ・レアルから見て右サイドからのカウンターが有効になる。

 そこでカギを握るのが、右ウイングを担当する久保の存在だ。

 ドリブル突破を得意とする久保にとって、対峙する相手がリュカ・エルナンデスだと厄介な部分もあるかもしれないが、ベラウドならば勝機は十分。カウンター時はもちろんだが、PSGが4-3-3で守る時でも積極的に仕掛けたい。

 PSGはクロス対応に難を抱えるため、カットインからの左足シュートを見せつつ、縦突破からのクロス供給も大きな武器となるだろう。逆に左サイドからのクロス供給に対しては、久保がフィニッシャーとしての力を発揮する絶好のチャンスにもなる。

 もちろん、PSGにはエムバペ、デンベレ、ハキミなど、チーム戦術を破壊するだけのハイレベルな個の能力を持つ選手は多いので、ノーガードの打ち合いになるとラ・レアルの勝ち目は薄くなる。より勝利の確率を上げるには、ハイプレスと自陣からのカウンターを時間帯や戦況によってうまく使い分け、できるだけロースコアの試合に持ち込みたい。

 そのなかで久保が攻撃の突破口になれるかどうか──。そこが勝敗の分かれ目になりそうだ。

「UEFAチャンピオンズリーグ」ベスト16がスタート
久保建英擁するR・ソシエダはPSGと対戦
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プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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