久保建英、不屈の証明 屈辱の敗戦から中2日、90分で日本代表からソシエダへアジャスト (2ページ目)
【この日、最大のチャンスを演出】
57分、久保が右サイドから中へ持ち込み、ラインを乱れさせると、ブライス・メンデスにパス。ブライスが左足で強烈なミドルを打ったが、GKがどうにかブロック。サディクが詰めてのシュートはサイドネットだった。
そして70分、左に回った久保がパスを受け、アンデル・バレネチェアにパスをつける。バレネチェアは左で幅を取ったハビ・ガランにパス。その間、久保はインサイドを駆け抜け、ガランからのパスを引き出すと、ゴールラインまで持ち込んでサディクにマイナス気味の完璧なラストパスを出した。押し込むだけの好機だったが、サディクはボールをバーの上にはね上げてしまい、決めることができなかった。
「マジョルカはサディクに感謝」
スペイン大手スポーツ紙『アス』がそう皮肉な見出しを打ち、サディクを戦犯につるし上げるほどの決定機だった。
フル出場した久保は、終盤にも、苛ついた相手選手に思いきり押し倒されるファウルを受け、あるいは後ろからのチャージを受けながら、果敢にゴールへ迫っていた。やはりアフリカネーションズカップからの復帰組のアマリ・トラオレとのコンビは後半になってリズムを回復。セカンドレグのホームマッチに向けても、くさびを打ち込んだと言える。
敵地でのスコアレスドローは、悪くはない結果だ。
「Emergente」
スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は久保について「浮かび出る」と言い得て妙な表現をしている。
「タケ(久保)はトラオレと同じく、試合への入りは苦労していた。前半は"地味な"印象だった。しかし後半は中に入る動きで目立ち始め、多くの危険を作り出して、相手ディフェンスラインを惑わしていた」
久保は、不屈の選手であることをあらためて証明したと言える。代表から戻ったばかりで、ほとんど時間をかけずに"仕様"を切り替えていた。もっとも、それがエースの品格とも言えるのかもしれない。
「代表だとか、ケガだとか、チームに帯同している限りは、エクスキューズはない」
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