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三笘薫はウイングで構えるゲームメーカー 試合終了まで「外せない理由」がわかった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【両SBのゴールを陰で演出】

 いやなムードを払拭するふたりのコンビネーションだった。まず、MFビリー・ギルモア(スコットランド代表)の縦パスがジャック・ヒンシェルウッド(U-19イングランド代表)に通る。18歳の右SBが収めたボールは中央のジョアン・ペドロ(ブラジル代表)を経由して、左サイドの三笘の元に回っていった。

 ドリブルで突っかける三笘に、ブレントフォードはマークをふたりつけた。よって三笘の脇が空いた。そのスペースに計算したように入ってきたのがグロスで、三笘に、ゴールへの確信を抱くかのようにパスを要求。ボールを受けると左足で冷静に同点弾を流し込んだ。

 後半3分のシーンでは、グロスが大外を回った三笘の鼻先にスルーパスを送った。シュートを打つかと思いきや、強引なプレーが好きそうでない三笘は、中央に折り返すも得点には至らない。

 後半7分のシーンはその逆だった。三笘が大外を回ったグロスにスルーパスを送るとグロスも中央に折り返した。この時は、ゴール前でヒンシェルウッドがフリーになっていた。次の瞬間、この日がプレミアリーグ初先発の右SBはジャンプ一番、頭でセンタリングを押し込み、これを逆転の決勝弾とした。

 32歳のグロスと18歳のヒンシェルウッド。左SBのラストパスを右SBが決めたわけだ。先制点を挙げたのも左SBである。まさに「SBが活躍したほうが勝つ」という格言通りの、今日的な展開だった。

 三笘はそのいずれにも、陰で演出役を果たしている。1点目はアシスト。2点目はアシストの1本手前のパスだ。マイボール時にはSBとウイングの関係が光る一戦だったが、特に三笘とグロスのパス交換は、ゴールへのルートが見えているような可能性が感じられた。ブライトンの心臓部そのもののようだった。

「中盤」はサイドにも築くことができる。サイドで試合を作ることができる。むしろ、自軍ゴールまで距離が近い真ん中よりリスクは少ない。奪われてもピンチになりにくい場所でゲームを作るメリットが示された試合だった。

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