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久保建英、セルヒオ・ラモスに引導を渡す 現地紙はチームプレーヤーとして軒並み高評価 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【試合を通し相手を翻弄】

 序盤から戦術的なタスクを完ぺきに遂行。セビージャの攻撃の出どころであるセルヒオ・ラモスをプレッシングで封じていた。これがボディーブローのように響き、相手に攻撃で先手を取らせなかった。

 攻撃では右サイドで左サイドバック、アドリア・ペドラサに悪夢を見せている。食いつかせてからの電撃的スルーパス。飛び込ませて奪わせたかと思わせて、再び取り返し、鋭く切り込む。さらにオフ・ザ・ボールの動きで一瞬背後を取ってスルーパスを受けると、あえて追いつかせた後でセルヒオ・ラモスと並べ、その間からシュートを打った。

 左アタッカーのルーカス・オカンポスがペドラサの援護でプレスバックしてきたが、これによって相手の攻撃を手薄にした。

 ゴール、アシストはなかったが、久保に対する評価が高いのは当然だろう。

「ブライス(・メンデス)、(アマリ・)トラオレとはピッタリと調和していた。サディクを見つけ、深いパスも通していた。カットインする動きで、バックラインを破壊。すべていいプレーだった、Descabelloを除いては......」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、久保のプレーにそう寸評を付けている。「Descabello」は闘牛用語で、第一頸椎と第二頸椎の間の急所を剣で突き刺し即死させる技、もしくはその刀剣を指す。つまり、とどめを刺せなかったということだ。

 スペイン大手スポーツ紙『アス』も、「相手守備陣のバランスを崩していた」、『マルカ』も、「久保、バレネチェアが両サイドでスペースを得ることでカウンターの脅威を与え、相手の攻撃を難しくしていた」とチームプレーヤーとしての貢献を高く評価していた。決定機を逃したことは指摘しつつも、星二つ(0~3の4段階評価)で、チーム1、2を争う高評価だった。

 セルヒオ・ラモスを翻弄する姿は頼もしかったと言えるだろう。全盛期を過ぎたとは言え、錚々たるアタッカーを抑え込んできた歴戦の強者であることは間違いない。その番人を"制圧"する姿には、新時代の輝きがあった。

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