久保建英に過密日程の重圧 スペイン人記者が今季ここまでの貢献度を計算した
久保建英が所属するレアル・ソシエダは、11月の代表ウイーク後からクリスマス休暇まで、週2試合の過密スケジュールが続く。今回はクラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」で番記者を務めるイケル・カスターニョ・カベージョ氏に、タイトな日程により久保が負傷した場合のオプションおよび、ここまでの久保の勝利への貢献度を考察してもらった。
【クリスマス休暇まで過密スケジュール】
今年最後のインターナショナルブレイク後のセビージャ戦からクリスマス休暇までの約1カ月間、過密スケジュールに直面しているレアル・ソシエダの未来は、主力選手がコンディションをうまく維持できるかにかかっている。
調子を落としてきている久保建英だが、これまでのチームへの貢献度は大きい photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る 久保建英が最後に大ケガをしたのは2年前のマジョルカ時代。半月板を損傷し、2カ月以上の戦線離脱を余儀なくされた。それ以降、深刻な状態に陥ったことはなく、ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)加入後に一度も大きなケガを負っていないという事実は、クラブにとってもサポーターにとっても非常にありがたいことだ。
昨季ケガでメンバーから外れたのは、左肩脱臼による2試合のみ。また2回目のケガのタイミングがシーズン終了後だったのは、ラ・レアルにとって不幸中の幸いだった。久保は今年6月に日本で行なわれたペルー戦で残り20分で出場したあと、左足首に違和感があったが、心配されるような事態には至らず、プレシーズンに問題なく参加できていた。
そして今季、ラ・リーガのバレンシア戦と国王杯のブニョール戦の2試合で出番が全くなかったが、それはフィジカル面の問題ではなく、単に温存されたため。ここまで公式戦19試合中17試合の出場は、久保がケガに強いことを証明している。
一方、チームでは近年、ミケル・オヤルサバル、ウマル・サディク、アンデル・バレネチェアといった重傷者が出ており、先日はカルロス・フェルナンデスがケガを再発させていた。
この後、わずか22日間で7試合という非常に厳しい日程に臨むため、できる限り負傷者を出さないことがイマノル・アルグアシル監督にとっての大きな課題でなり、選手の出場時間をどのようにコントロールするか、その手腕が問われる。
そんな状況においても久保を起用することは、試合に勝つための重要な要素のひとつ。かといってずっと起用し続ければ、いつか大問題に発展するだろう。そのため、すでにチャンピオンズリーグ(CL)でラウンド16の切符を手にしている29日のレッドブル・ザルツブルグ戦は、その3日後に控えたラ・リーガのオサスナ戦に向けて久保を温存する大きなチャンスとなる。
さらに来週、ミッドウィークに開催される国王杯2回戦の相手は4部のアンドラッチのため、1回戦のブニョール戦同様、何らかのトラブルが発生しない限り、休ませることができるだろう。
上記2試合で久保に十分な休養を与えることは、その後に控えるビジャレアル、インテル、ベティスといった難しい対戦に向け、チームにとって非常に有益なものになるはずだ。
しかしイマノルは、ラ・レアルでのキャリアでこれまでペースダウンやローテーションを好まない監督であることを示してきた。そのため久保などの主力選手は、どんな試合であっても、いつ出番が回ってきてもいいように、常に100%の状態を維持しておく必要があり、気を抜く暇はほとんどないのかもしれない。
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著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。