三笘薫は守備にかかる負担が足かせに EL出場の日本代表選手の現状を総チェック (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【優勝候補リバプールの難しさ】

 この日のトゥールーズ戦には事実、遠藤の他にGKカオイムヒン・ケレハー(アイルランド代表)、17歳のベン・ドーク(スコットランドU-21代表)、20歳のジャレル・クアンサ(イングランドU-21代表)、コスタス・ツィミカス(ギリシャ代表)など、プレミアリーグで出場機会が少ない選手が各所に配置されていた。

 だが、このクロップ監督の読みは少し甘かった。リバプールは2-3でトゥールーズにまさかの敗戦を喫することになった。

 遠藤にとっても芳しい試合ではなかった。前半34分、相手の足を踏みつけイエローカードをもらうと、チームはその直後に先制弾を浴びる。後半40分にも遠藤は危うくイエローを出されそうなタックルで、ベンチをひやりとさせた。退場のリスクを考慮したのか、クロップ監督は、前半終了とともに遠藤をベンチに下げた。そして後半、モハメド・サラー(エジプト代表)、ドミニク・ソボスライ(ハンガリー代表)、ディオゴ・ジョタ(ポルトガル代表)など主力級を次々投入するも、追いつくことができなかった。

 ELで難しいのは、他国のリーグで戦うチームの力の見極めだ。トゥールーズはフランスリーグで昨季13位だったチーム(カップ戦で優勝。今季の成績はこれまで14位)である。そのチームとのアウェー戦に、どれほどのメンバーを充てるのが適切か。

 フランスリーグのUEFAランキングは現在5位で、プレミアは1位だ。フランスリーグの現在14位チームを、プレミアリーグに置き換えるならどれほどか。2部の上位程度と判断すれば、国内のカップ戦向けのメンバーで十分なはずだ。判断が甘かったと言われればそれまでだが、妥当といえば妥当だ。

 CLの場合、相手は最低でも各国リーグの4位以内だ。優勝候補でもベストメンバーを送り込もうとする。リーグランキングが著しく低い、マイナー国のチームとの対戦を除けば、カップ戦要員主体では臨まないのだ。CLに出場しても、悪くても全体で8番手以内に推されるに違いないリバプールが、ELを大本命として戦う難しさをトゥールーズとのアウェー戦に見た気がする。

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