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久保建英が打ち破った「日本人への偏見」 CLに湧くサンセバスチャンの今 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【久保が受け入れられた街】

 スビエタのカフェはランチタイムで、ラ・レアルのユースや女子チーム選手でごった返していた。ラ・レアルの応援風景の写真がデザインされた壁に囲まれ、テーブルにはラ・レアルの紋章やピッチが描かれ、バーカウンターにはラ・リーガを連覇した時の新聞の一面やトロフィーなどが配置。ラ・レアル一色の空間になっていた。

 関係者専用のランチセットは豪華だった。

 その日は一皿目がAlubias(インゲン豆とチョリソの煮込み)、Arroz a la cubana(キューバ風ライス)、Patata con Bacalao(バカラオとポテトのスープ)など、二皿目がGuisante con ternera(牛肉とえんどう豆の煮込み)、Pollo frito(チキンフライ)などを選ぶ形だった。デザートにはバスクの名物であるチーズケーキやプリン、ヨーグルト、フルーツ。食後にはエスプレッソやCortado(エスプレッソにミルクを垂らしたもの)が注文できた。

 久保が所属するトップチームの選手は、もうひとつの施設で昼食をとるのだが、メニューは似ているという。久保も同じようなものを食べているということだ。どれもおいしく、相当なレベルだった。

 スペインの多くのクラブがそうだが、ラ・レアルは特に食事を重視し、専属の料理人を雇っている。本拠地レアレ・アレーナのロッカールームにも食堂がある。試合前には、時間帯によってパスタやチキンなどを食べて挑むという。お膝元のサンセバスチャンは「世界一の美食の町」と言われるだけあって、食の意識は高い。

 久保が受け入れられたクラブ、土地とはそういうところだ。

 サンセバスチャンの中心にあるラ・コンチャ海岸は、美しい光景が広がっていた。風光明媚で観光スポットとして有名だが、市民の憩いの場所であり、ラ・レアルのフットボールの原点とも言える。

「ビーチサッカーで選手は鍛えられた」

 サンセバスチャン市のあるギプスコア県では、14歳まで特定のクラブでの活動が禁じられ、さまざまなスポーツをすることが奨励されてきた。そのなかで、ビーチサッカーは誰もが集って大会に参加できる場所で、垣根を越えて切磋琢磨できたのである。伝説的MFシャビ・アロンソはまさにビーチサッカーの申し子だった。水を含んだ砂でのプレーで足腰を鍛えられ、精度の高いキックを身につけたという。

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