三笘薫が見せた「妖精のような動き」 途中出場2得点でブライトンを救う (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

【ハットトリックの可能性もあった】

 そのリターンが三笘の足もとに入る。膨らみを持たせながらトラップに及んだそのタッチが秀逸だった。1、2メートル先にわずかに広がるオープンスペースを見つけるや、そこにボールを送り出すようにセットすると、後はゴールに流し込むだけだった。DFの足に絡みながらボールは枠内に吸い込まれていった。開始わずか15秒の出来事である。

 三笘以外できそうもない、切れ味満点、すばしこさ満点、シュートシーンから逆算したような、計算高いしたたかなドリブル&シュートだった。

 2-1と、ブライトンはあっさりと逆転した。だが、三笘の活躍はこれで終わらなかった。

 後半32分。中盤で相手ボールを拾ったスコットランド代表の22歳、ビリー・ギルモアは、同じタイミングで掛け寄ることになった三笘に、中央に入れと指示を送る。腕を掲げゴール方向を示すと、ギルモア自身は左サイドに開いた左SBペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)にパスを展開した。

 エストゥピニャンの左足センタリングは正確無比。完璧そのものだったが、ギルモアの指示に従い、中央に走り込んだ三笘の動きもシャレていた。ザバルニーに悟られないように、足を偲ばせるように侵入。ウクライナ代表CBがボールウォッチャーになった瞬間、その身体は軽々と舞った。ヘディングシュートはきれいな弾道でゴール右隅に吸い込まれていった。

 見せ場はもう一度あった。後半44分。交代で入った期待の新加入選手、19歳のカルロス・バレバ(カメルーン代表)から左サイドでパスを受けると、ドリブルで加速。対峙する相手右SBマックス・アーロンズ(元イングランドU-21代表)を軽々と縦に外すと、MFデービッド・ブルックス(ウェールズ代表)を抜きにかかった。

 楽々抜いたかに見えた瞬間、手が掛かった。そうでもしなければ三笘はシュートに持ち込んでいただろう。ハットトリックの可能性は大いにあった。そこで激高しないところがまたおシャレだった。格の違いを見せつける恰好になった。

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