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三笘薫がEL初戦で見せた完璧な折り返し だがブライトンは挑戦者になりきれなかった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Sebastian Frej/MB Media/Getty Image

【2人がかりで寄せられたが...】

 チームの顔役でCBを務めるルイス・ダンク以外、予想どおりのメンバーが先発に並べたブライトン。だが、試合は思わぬ展開で推移することになる。

ヨーロッパリーグ初戦AEKアテネ戦に後半41分まで出場した三笘薫(ブライトン)ヨーロッパリーグ初戦AEKアテネ戦に後半41分まで出場した三笘薫(ブライトン)この記事に関連する写真を見る 先制点を奪ったのはアウェーのAEK。開始11分、CKからジブリル・シディベ(元フランス代表)が頭で豪快に決める。ブライトンは前半30分、1トップで出場したブラジル人FWジョアン・ペドロがPKをゲット。自ら決め同点としたが、前半40分、ミヤト・ガチノヴィッチ(セルビア代表)にスライディングシュートを許し、再びAEKにリードを許す。1-2のスコアで前半を折り返すことになった。

 まさかの展開である。ベストメンバーに近い11人で臨んだブライトンだったが、初めて欧州カップ戦を戦う喜びのようなものが感じられなかった。ひと言で言うなら弱者の挑戦を受けてしまった。対峙の仕方に苦慮したという印象だ。

 オーストリア(チチャン・スタンコヴィッチ)、イラン(エフサン・ハジサフィ)、ポーランド(ダミアン・シマンスキ)、デンマーク(イェンス・イェンソン)、メキシコ(オルベリン・ピネダ)、モロッコ(ノルディン・アムラバト)、アルゼンチン(セルヒオ・アラウホ)、フランス(ジブリル・シディベ)、セルビア(ミヤト・ガチノヴィッチ)、トリニダード&トバゴ(レヴィ・ガルシア)、ギリシャ(イェラシモス・ミトグル)。AEKはギリシャの首都アテネのチームであるが、スタメン11人の国籍が上記のようにすべて異なる、文字どおりの多国籍軍である。欧州のカップ戦出場を狙う裏のルートを見るようなチームだ。欧州でプレーする日本人はいまや、100人に迫ると言われるが、AEKのようなチームは狙い目のチームに見える。

 ブライトンは、その多国籍軍ならではの、つかみどころのなさに手を焼いた。

 三笘は前半アディショナルタイムの段になってようやく"魅せた"。それまで左サイドで2度いい形でボールを受けたが、伸びやかなプレーはできずじまい。AEKは研究してきたのだろう。三笘がボールを持つと2人がかりで寄せてきた。

 だが、もはや相棒的な関係になっている左SB ペルビス・エストゥピニャンがいい感じで絡むと、三笘は快活になる。46分、対峙する相手の右SBシディベを、内に行くと見せて縦に抜ける三笘らしいフェイントで深々とかわすと、果敢にライン際から折り返した。ボールを1トップのジョアン・ペドロと相手GKチチャン・スタンコヴィッチの間に流し込むも、GKにキャッチされる。

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