久保建英のCLデビュー戦をソシエダのご意見番が分析 「もし自分が監督だったら...」
「タケは、あらためてすばらしい選手であることを証明した。とくにコンビネーションのところで瞠目(どうもく)すべき技術を持っている。ロビン・ル・ノルマンへのクロス、そのワンプレーだけでも質の高さは伝わった。もし決まっていたら、試合展開は変わっていたかもしれない」
スペインの目利きであるミケル・エチャリは、久保建英を擁するレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)が、チャンピオンズリーグ(CL)開幕戦のインテル戦で引き分けた試合について、そう語っている。
エチャリは20年近く、ラ・レアルでスポーツダイレクターやアカデミーダイレクターなどの職を歴任してきた。フランシスコ・デ・ペドロ、シャビ・アロンソ、アントワーヌ・グリーズマンなど、影響を与えた選手は枚挙にいとまがない。現監督のイマノル・アルグアシルは指導者時代に麾下(きか=直属)の選手だったし、コーチのイオン・アンソテギは監督養成学校の生徒だ。
バスクサッカーの重鎮であるエチャリは、久保ラ・レアルのCL開幕戦をどう見たのか?
インテル戦で後半27分までプレーした久保建英(レアル・ソシエダ)この記事に関連する写真を見る「まず、勝ちに値する試合だった、ということを言っておきたい。すばらしい出足でプレスをはめ、先制点を記録した。そして80分過ぎまで、昨シーズンのCLファイナリストをリードしていた。10本以上のシュートを放ち、ポストやバーに当て、スペクタクルな内容だった。どのチームも、これだけの戦いができるわけではない。
タケは直前のレアル・マドリード戦ほどの出来ではなく、試合の入りで苦労していた。しかし、プレー内容は賞賛に値するものだった。イタリアのチームに研究されたか、タケは常に1対2の数的不利に置かれていた。にもかかわらず、それを何度か突破してチャンスを演出したのだ。
右サイドバックのアマリ・トラオレが不安定なポジショニングだったこともあり、タケはなかなか本来の力を見せられなかったとも言える。それもインテルの狙いではあったか。そのなかでもタケのミケル・オヤルサバル、ミケル・メリーノへのボール供給は抜群で、キックのクオリティの高さを思い知らされた。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。