久保建英のCLデビュー戦をソシエダのご意見番が分析 「もし自分が監督だったら...」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【久保の途中交代について考えた】

 久保については地元のインタビューなどで、『彼はどうやったら偉大な選手になれるか?』と聞かれることがあるが、『すでに偉大な選手だよ』と答えている。もちろん、長く続けるのは難しい。ただ、少なくともプレーは偉大だ」

 エチャリはそう言って、久保のプレーを絶賛した。では、チームはなぜ勝ちきれなかったのか?

「72分、久保は交代でベンチに退いている。その交代に関しては、いろんな意見があるだろう。私も考察するきっかけになった。

 ラ・レアルは87分に失点し、引き分けたわけだが、選手交代が試合を決定づけたのは確かだ。

 まず、インテルは贅沢な陣容だった。イタリア代表のフェデリコ・ディマルコ、ダビデ・フラッテジ、フランチェスコ・アチェルビ、チリ代表アレクシス・サンチェス、フランス代表マルクス・テュラムなど、先発した選手と力の差がない選手が投入されている。それを忘れてはならない。

 一方、ラ・レアルはモハメド・アリ・チョ、アルバロ・オドリオソラ、ウマル・サディク、アイヘン・ムニョス、ジョン・パチェコが代わってピッチに入った。悪い選手ではないが、先発と控えの差は明らかだろう。パワーダウンを余儀なくされた。

 そのふたつが重なり合い、大きな勢いの差になった。

 では、どうにもできなかったのか?

 あえて『たら・れば』の話をするなら、もし自分が決断者だったら、早めに3バックに切り替え、5-3-2のような形にし、トップの一角にタケを配置していただろう。それによってボールを持って運べるし、ファウルも誘えるはずで、リズムを作って相手の怒涛の攻撃を分断し、走力を生かしてカウンターも発動できた可能性はある。彼をピッチに残す策はなかったわけではない。

 ただし、これは結果論とも言える。

 イマノル(・アルグアシル監督)は同じことを考えただろう。しかし、あの時点で勝ち点3を奪うための最善の決断をした。インテル戦の試合内容はほとんど歴史的に輝かしく、それは日頃のトレーニングの賜物であり、結果によって采配に疑問を呈すべきではない」

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