三笘薫が見せたワンタッチごとに進路を変えるドリブル マンU撃破で快進撃続く (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

【見られなかった縦突破】

 その10分後、前半41分だった。ラッシュフォードがドリブルで左サイドを突破。ヤンポール・ファンヘッケ(元オランダU-21代表)をかわし、ライン際ギリギリからマイナスに折り返すと、ラスムス・ホイルンド(デンマーク代表)がこれを決め同点ゴールとしたかに見えた。

 だがVARの結果、ラッシュフォードの折り返しがラインを割ったと判定され、ホイラントのゴールは取り消しになった。ブライトンは命拾いした。だが、このファンヘッケを縦にかわしたラッシュフォードのウイングプレーは圧巻だった。三笘に披露してほしいプレーでもあった。

 三笘は後半4分、左ウイングの位置から中を冷静に見て、グラウンダーのアウトでラストパスを送っている。後半8分にはパスカル・グロス(ドイツ代表)が決めた追加点に2つ前のプレーで絡んだ。左ウイングの位置でボールを受けながら、攻め上がった左SBタリク・ランプティ(ガーナ代表)にパスを預けている。

 結局、対峙する相手のSBを縦に突破し、マイナスのラストパスを折り返す、自慢のプレーを見ることはできずじまいだった。この試合に限れば、それはラッシュフォードにあって三笘にない魅力となった。

 さらに言えば、先の日本代表のドイツ戦でも拝めなかったプレーである。前で述べたように、三笘は真ん中を行くドリブルで決定的なプレーができる。しかし、相手GKにとっては、その動きを早い段階で視界の正面に捉えることができることも確かである。GKにとってどちらが守りにくいかと言えば、マイナスの折り返しだ。やはり得点の確率はそのほうが高い。シューターにとってイージーなのはこちらである。

 縦と内と。要はバランスの問題だが、1試合に1、2本は決定的な縦突破を見たいとは、筆者の願望である。

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