久保建英が監督からの挑発に応える活躍 現地紙はベリンガムと同列に語るほど賞賛 (3ページ目)
率直に言って、ラ・レアルはチームとして劇的に改善されたわけではない。ボールは持ったが、敵陣で攻撃する時間は少なかった。しかし、久保が先頭を切って引っ張ることで活路を開いた(久保は78分にベンチに下がり、2点差に追い上げられている)。
「久保はラ・レアルの手品師であり、(危機に陥っていたチームの)AEDだ。その才能で試合を輝かせ、命を与えた。最初の2得点を奪い、3点目、5点にも関わった。(グラナダは)彼がケガをしていて不幸中の幸いだった」
スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』も他のスポーツ紙と同様、久保をベストプレーヤーに選出し、トリッキーな言い回しで激賞した。
9月の代表選後、ラ・レアルはレアル・マドリードとの頂上決戦に挑む。その後、開幕するチャンピオンズリーグでは昨季ファイナリストのインテルと一戦を交える。強力な敵ばかりだ。
しかし、久保は臆することはない。チームを双肩に担い、先頭をきって戦える。その物語はすでに未知の領域に入っている。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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