久保建英が監督からの挑発に応える活躍 現地紙はベリンガムと同列に語るほど賞賛 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

【3点目、5点目にも関与】

 肌が粟立つほどの技量で、相手を寄せつけなかった。

 前半終了間際、久保は浮き球を何気ないコントロールで完璧に収めるシーンがあった。大柄ではないが、態勢も万全で、相手に間合いに入って来させない。無理をすればファウルは必至で、その駆け引きによって、ためを作り出せる。その様子は、まさにピッチの王様だった。

 55分、久保のアンデル・バレネチェアとのワンツーで抜け出したシーンは、PKになってもおかしくなかった。さらに56分には自陣に下がってボールを受け、前線のオヤルサバルにロングパスを送り、攻撃のリズムを生む。そして58分、ゴールラインまでパスを呼び込むと、左足でこねてから右足でマイナスに戻したボールはブライス・メンデス、マルティン・スビメンディとつながって、3点目となった。

 久保は戦術の軸になっていた。縦横無尽に動き回って、右サイドバックのアマリ・トラオレ、左サイドバックのキーラン・ティアニーなど新入りのよさを生かす余裕さえ見せた。前々日まで右足の負傷で練習を休んでいたとは信じられない。チームにテンポを生み出すことで、彼自身も輝きを増した。

 75分には、とどめの5得点目を"アシスト"している。久保はトラオレを走らせた後、クロスのこぼれ球をエリア内で拾い、ラストパスをオヤルサバルに合わせる余裕があった。結局、判定は相手DFに当たってオウンゴールだったが。

「(レアル・マドリードの攻撃的MFジュード・)ベリンガムと並び、ラ・リーガ序盤戦で最もフィットしている選手と言える。この日は2ゴールで、イマノル(・アルグアシル監督)の挑発(試合前日の会見で久保について、「3試合連続ゲームMVPだったら、4得点4アシストすべき」と語っていた)にも応えた。ほぼハットトリックで、チケット代を払う価値のあるプレーだった」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』も、上記のようにイングランド代表の将来のバロンドール候補と同列に語るなど、称賛を極めている。

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