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バイエルンは「ほぼドイツ代表」日本代表の9月欧州遠征に向けて注目の陣容だ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【臨機応変型のトゥヘル監督】

 マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督が、攻撃的サッカーの崇拝者であることは言うまでもない。ブレることなく追求しているのに対し、バイエルンのトゥヘル監督は臨機応変型だ。攻撃的かと思えば守備的に戦うこともよくある。布陣もオーソドックスな4バックから、守備的な5バックになりやすい3バックまで、相手に合わせて使用する。

 想起するのは、グアルディオラと一時、ライバル関係にあったジョゼ・モウリーニョだ。勝ちにこだわるサッカーである。カタールW杯本番でカメレオンのように豹変した森保一監督と同じタイプと言えるのかもしれない。

 バイエルンのサッカーを攻撃的にしたのは、他でもないグアルディオラだ。2013-14から3シーズン、監督の座に就くと、ドイツサッカーは少なからずその影響を受けた。右SBのフィリップ・ラームを守備的MFとして起用するアイデアを、時の代表監督ヨアヒム・レーヴもそのまま取り入れ、2014年ブラジルW杯を戦った。ドイツ優勝の背景にバイエルン監督の姿がのぞいたものだ。

 昨季終盤、けっして攻撃的とは言えないトゥヘル監督を迎えたバイエルン。そのサッカーはどう変わるのか。「代表チームのサッカーはクラブからの借り物だ」とは欧州サッカー界の常識だが、バイエルンとドイツ代表の関係はさまざまな意味で濃密だ。代表チームの主力を7人も抱えるクラブチームは、いまどきそうザラにないのである。

 そのドイツ代表と日本代表は9月にアウェー戦を行なう。今回のバイエルンの2試合は、そのスカウティングにも適した試合となるだろう。とくと目を凝らしたい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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