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日本サッカーがマンチェスター・シティから学ぶべきこと グアルディオラを良薬に (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【グアルディオラらしいサッカーとは】

 プレミアリーグ(1992年~)を初めて制したのはロベルト・マンチーニ監督時代の2011-12シーズン。旧来のファースト・ディビジョン時代にも2度(1936-37、1967-68)制している。

 そんなクラブの歴史のなかで、1970年代中盤はプレミア以前の時代では最も強かった時代のひとつと言える。

 そのタイミングで、マンチェスター・シティは初来日を果たしている。1976年5月、国立競技場などで日本代表と4試合を戦った過去がある。日本代表はいずれも完封負けしたが、その時、高校生だった筆者は、まさか47年後に、CL覇者として2度目の再来日を果たすとは予想だにしなかった。

 金満系のチェルシーが初めて欧州一の座に就いたのは2012-13シーズン。アブラモビッチがオーナー就任して10年でその座に就いたのに対し、昨季が初制覇となったマンチェスター・シティは金満化から15年間を費やしている。

 今季で監督就任8シーズン目を迎えるジョゼップ・グアルディオラらしさを、そこに見ることができる。

「ただ勝つだけではつまらない。勝利と娯楽性はクルマの両輪のように追求せよ」とは、グアルディオラの師匠であるヨハン・クライフの言葉だが、グアルディオラもその手の"癖"を抱えている。美学、哲学、こだわりを抱えながら試合に臨む。安易に勝ちに走ろうとしない分、勝ったときの喜びは大きい。波及効果の高い意義深い優勝となる。

 現在がその状態だ。マンチェスター・シティ的なサッカーは、2022年カタールW杯などで若干、守備的サッカーに興隆の兆しが見え隠れしていたこの世界に対するアンチテーゼとして強力に作用している。そのタイミングでマンチェスター・シティは47年ぶりの来日を果たすことは、代表監督がカタールW杯本大会を突如、5バックになりやすい守備的な3バックで戦いベスト16入りし、続投を勝ち取った日本サッカー界にとって皮肉的ではないか。

 5バックになりにくい3バック。相手ボール時は4バックで対応し、マイボールに転じると3バックで攻める。この可変式布陣を支えるのはジョン・ストーンズだ。相手ボール時は右SB、あるいはCBとして構え、マイボールに転じるやポジションを一列上げる。

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