ハーランドの移籍を成功させたスゴ腕の女性も 移籍市場を牛耳ってきたサッカー界の代理人の勢力図が変貌 (3ページ目)
【力を増す新時代の代理人たち】
ネイマールがバルセロナに移籍した際、彼の父親がクラブから最大4000万ユーロ(約50億円)のコミッションを受け取っていたことを認めた事件は記憶に新しい。しかし今後、親族がチームと交渉しコミッションを受け取れるのは、ライセンスを取得し、正式に代理人となった場合に限られる。
ちなみにこの新ルールは今年の9月30日まで移行期間が設けられている。この間は、現行制度で登録されている代理人が通常通り活動でき、多額のコミッションを得ることができる。もしこの夏、エムバペがパリ・サンジェルマンを出たら、それは親が子の移籍に大きな影響力を持ち、かつ大金も得られる最後の例となるだろう。
スーパーエージェントたちの力が削がれるなか、台頭してきたのは新たな代理人たちだ。ドイツのフォルカー・ストゥルス(トニ・クロース)、ルーマニア(ドイツ在住)のコンスタンティン・ドゥミトラスク(エディンソン・カバーニ、フィリペ・コウチーニョ)などがその筆頭だ。
彼らはスーパーエージェントたちのようにビッグネームを数多く保有するようなことはしない。せいぜい十数人だろう。
小サイズ化が特に進んでいるのはドイツだ。現時点でFIFAの代理人の資格を持つ人間は世界に4197人おり、そのうちの1072人がドイツ人であることからもそれがうかがえる。2位のイタリア(544人)の倍近い数だ。ちなみに日本は57人である。
もうひとつ、FIFAが予期しなかったことがアメリカのエージェントの参入だった。CAAは芸能関係の大手マネージメント会社だが、野球やバスケットボール、テニスなどスポーツ選手も扱う。ただしサッカーは大きなビジネスになることがわかっていながら、これまでは手を出さなかった。海千山千、裏に何があるかわからない前近代的なスーパーエージェントが仕切る世界に関わりたくなかったからだ。しかし、FIFAのルール改正ですべては新しく合理的になった。現在CAAは、リシャルリソンやソン・フンミンらを手がけている。
3 / 5