「鎌田大地のミラン移籍」はどうなっているのか カオスに陥ったチームの内情を番記者が明かす (3ページ目)

  • マルコ・パソット●文 text by Marco Pasotto
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【新チームは7月10日に集合】

 シーズン終盤、鎌田の加入はほぼ決定とミラノでは報じられていた。メディカルチェックの具体的な日付もささやかれていたし、我々メディアはミランから「すでに合意はしているが、発表はフランクフルトがドイツカップ決勝を終えてから」とも聞いていた。しかし、まずそこで最初のストップがかかる。その理由は、「選手の利権をイタリアで管理する者に対する形式的な問題」。つまり鎌田の代理人がイタリアで合法的に活動するため、手続きが必要だったというのだ。

 だが、その登録を待っているうちに今度はマルディーニが解任され、そしてミランには、先に解決すべき問題が起こった。ミランは中盤よりも、センターフォワードをどうにかすべきだという必要に迫られたのだ。こうして鎌田大地の移籍話は後回しになってしまった。ちなみに現在のミランの選手強化の責任を負っているのは、ミランの代表取締役でもあるジョルジョ・フルラーニとスカウティング部門の責任者ジョフリ・モンカダである。

 ミランは獲得リストの上位に鎌田の名を載せている。しかし、だからといって鎌田が100%ミランに加入するかと問われれば、それはわからない。口約束は絶対ではない。今のところ鎌田は、ミランの対応を待ってくれている。しかしそれにも限度があるだろう。永遠に待ってくれるわけではない。煮えきらないチームに嫌気がさす可能性も大いにあり、それを狙って別のチームが近づくこともありうる。

 いずれにせよ今月末から7月の頭には何か動きはあるだろう。7月10日には新シーズンに向けてのチームの集まりがあるのだ。

 ミランは別のトレクァルティスタも探している。エンポリの20歳のトンマーゾ・バルダンツィ。才能豊かな若手で、イタリアU-21代表でもある。また最近ではフェネルバフチフェ所属の18歳のトルコ人、アルダ・ギュレルの名前も挙がっている。

 彼らは鎌田の代わりともなりうるが、ただ鎌田ほど多くのポジションでプレーできる選手ではないし、何より移籍金がタダではない。チームのニーズに合って、それでいて金もかからない鎌田をミランが手放すとは思えない。だから、たとえ同じようなポジションの選手をチームが獲得したとしても、鎌田の移籍の障害にはならないだろう。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る