「鎌田大地のミラン移籍」はどうなっているのか カオスに陥ったチームの内情を番記者が明かす

  • マルコ・パソット●文 text by Marco Pasotto
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

 鎌田大地と移籍が有力視されるミランの間に何が起きているのか。イタリア『La Gazzetta dello Sport』紙ミラン担当記者が、これまでのいきさつと今後の可能性について現地からレポート――。

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「鎌田大地のミラン加入が秒読み」と言われてから、すでに1カ月以上が経つ。「いったいどうなっているのか?」と思われる日本のファンも多いだろう。現在どんな状態にあるのかを説明するには、まずこれまでのいきさつを語ることが必要だ。

ミラン移籍が報じられたものの、発表には至っていない鎌田大地 photo by Sano Mikiミラン移籍が報じられたものの、発表には至っていない鎌田大地 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る シーズンが終了してすぐ、ミランはカオスに陥った。次々とチームを去る者たちがミランを根底から揺るがし、サポーターたちの間にも多くの疑念を生み出している。

 まずはズラタン・イブラヒモビッチとの別れだ。彼が去ることは少し前から予測されていたが、それでも実際にいなくなってみると、残された空洞はあまりに大きかった。

 ミランの10番をつけていたブラヒム・ディアスは、レンタル元のレアル・マドリードに帰る。ディアスについては「最高の選手」「ミランにいるべきレベルではない」とサポーターの意見は二分されていたが、それでもチームの不動のトレクァルティスタ(攻撃的MF)だったことには変わりない。

 そして、かつてフランコ・バレージとともにミランの旗印だったパオロ・マルディーニのTD(テクニカルディレクター)解任。少し前から意見が合わなくなってきたマルディーニを、オーナー会社レッドバードは解雇した。同時にSD(スポーツディレクター)のリッキー・マッサーラもチームを去ることになった。チーム強化はほとんど彼らが行なってきただけに、一時期、すべての交渉はストップした。

 加えて、その数日後にはミランの会長だったシルビオ・ベルルスコーニ元首相が亡くなったことも、ミラニスタにとっては少なからずショックだった。ベルルスコーニは現在のミランとは何の関係もないが、彼はミランの黄金期の象徴だった。チームを率いた31年間に29のタイトルを獲得している。

 極めつけはサンドロ・トナーリのニューカッスル移籍だ。トナーリを今後のミランを背負って立つ存在、未来のキャプテンと信じていたミラニスタにとっては、冷や水を浴びせられたも同然だった。これらすべてが約2週間の間に起きた出来事だった。

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