メッシの移籍先MLSにはなぜスター選手が集まるのか ベッカムに始まり、アンリにピルロ、ズラタン、今季はベイルも参戦 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【ブレイクの転機は2007年】

 しかも、創設当初わずかだった専用スタジアムも、2000年代以降は次々と新設された。現在、陸上トラックのあるスタジアムをホームとするチームは皆無。アメリカンフットボールのNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)と共用するスタジアムもあるが、基本的にはすべての試合がサッカー専用スタジアムで行なわれている。

 スタジアム環境が整備されたこともあり、観客入場者数も右肩上がり。1996年の年間278万5001人から、2022年には28チームで年間1001万1578人と、1試合平均でも約2万1000人を超えるほどの盛況ぶりだ。

 ちなみに、2022年度のリーグ最多入場者数を記録したのは、最大約7万9000人の収容を誇るメルセデス・ベンツ・スタジアムを本拠地とするアトランタ・ユナイテッドFCで、1試合平均は4万7116人。逆に最も少なかったのは、メッシが加入予定のインテル・マイアミで、1試合平均は1万2637人だった。

 少ない理由として、収容1万8000人の本拠地DRV PNKスタジアムがマイアミの中心地から30kmほど離れたフォートローダーデールにあることもその要因のひとつ。しかし、それでもメッシが加入したとなれば、毎試合満席になることはほぼ確実だろう。

 入場者数が増加した背景には、スタジアム環境が整ったこと以外にも理由がある。それが、今から約15年前の2007年──現在インテル・マイアミのオーナーでもあるデイヴィッド・ベッカムがレアル・マドリードからロサンゼルス・ギャラクシーに移籍したことだ。

 それまで適用されていたサラリー・キャップ制度に『特別指定選手制度(1チーム2名までサラリー無制限の選手の所属を認めた通称「ベッカム・ルール」)』を設けてまで世界的スーパースターを手にしたことが大きな転機となった。以降、各国のスター選手が次々とMLSに参戦し、アメリカ人たちのサッカー熱はさらに高まっていった。

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