旗手怜央が語るゴール量産の古橋亨梧のすごさ 「年間最優秀選手には悔しさも覚えた」 (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

【二桁得点、二桁アシストを目指していた】

 セルティックには日本人選手が多く在籍しているからといって、常に彼らとだけ固まるようなことがないように意識している自分は、ピッチ外で亨梧くんと一緒に過ごす機会はほとんどない。

 でも、今季はピッチ上での会話が格段に増えた。たとえば、試合中に亨梧くんへのパスがずれた時には、合間を見て話しに行き、感覚を擦り合わせた。亨梧くんから、今のタイミングであれば、どういったパスがよかったのか。さらにはどこにほしかったのかを聞くことで、次のプレーに生かし、そして結果につなげてきた。

 自らコミュニケーションを取りに行き、意見を聞いたのは、自身の数字にこだわるのもさることながら、チームのゴール、さらにはチームの勝利につながる行動だと思っていたからだった。

 そして結果的に、常に亨梧くんを探し、彼へのラストパスを意識したことで、僕はパサーとしても大きく引き上げてもらったように思う。もともとはストライカーだった自分は、セルティックでは2列目やボランチのポジションでプレーするようになった。その役割を全うできたのは、自分のパスからゴールという結果を残してくれた亨梧くんの存在が大きい。

 異国の地であるスコットランドのリーグ戦において、日本人選手が27得点を挙げて、得点王に輝く。これは決して簡単ではない。それだけに自分もアシストという結果で、少しだけ貢献できたのであれば、うれしく思う。

 自分自身の1年間を振り返れば、リーグ戦では32試合に出場して6得点9アシスト。すべての公式戦で見ると、9得点11アシストだった。二桁得点、二桁アシストを目指していただけに、アシストは達成できた一方で、ゴールは目標とする数字に届かなかったのは、来季への課題と言えるだろう。

 冬にセルティックに加入した昨季は、シーズン終盤になりコンディション的にも息切れしてしまったところが課題だった。

 1年間を通して高いパフォーマンスを維持する。そこを目標に掲げて臨んだ今季、シーズン序盤はUEFAチャンピオンズリーグを戦いながらもコンディションを維持し、乗り越えられたところは、ひとつ確かな成長と振り返ることができる。

 亨梧くんのようにゴールという目に見える数字だけでなく、攻守における貢献が求められるポジションにおいて、シーズンを通して安定したプレーを見せることができたのではないかと感じている。

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