バルセロナはリーグ優勝も来季への不安大 主力放出と審判買収疑惑でCL出場権剥奪の可能性 (2ページ目)

  • セルヒオ・レビンスキー●文 text by Sergio Levinsky
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

【人員整理と審判買収疑惑】

 また右のラテラル(サイドバック)に本来はセンターバックのクンデを配したこともあって守備力が劇的に高まり、失点数が非常に少なかったことも優勝の要因に挙げられる。ただし、そのクンデは自身がもっとも得意とするポジションでのプレーを望み、それが叶えられなければ、今夏に移籍を志願するとも漏れ聞こえてくる。

 ラ・リーガが定めるファイナンシャル・フェアプレーにより、バルセロナは今オフ、選手の総サラリーを約2億ユーロ(約300億円)削減しないかぎり、新戦力を獲得できない状況にある。そのため、クンデを1シーズンだけで放出してもおかしくはない。

 また、高給取りのセルヒオ・ブスケツとジョルディ・アルバが、今季終了後に去るのは既定路線となっている。7月1日に、ジョルディ・クライフに代わって新たにスポーツ・ディレクターに就任する予定のデコも、人員の整理から仕事を始めることになるだろう。

 ただし──。今夏の移籍マーケットでどれだけうまく立ち回ることができたとしても、バルセロナは来季のCLに出場できないかもしれない。なぜなら2001年から2018年まで、同クラブが審判を買収していたのではないかという疑惑が浮上しているのだ。

 2月にこのスキャンダルが明るみになると、続報が連なり、多くの議論が交わされ、現在は裁判所に判決が委ねられている。ここですべてを詳細に語ることは文字数の関係で不可能だが、要点を記すと、バルセロナがスペイン審判委員会の副会長を務めていたホセ・マリア・エンリケス・ネグレイラに、その17年間で総額730万ユーロ(約10億9500万円)を支払っていたと疑われているのだ。

 2018年にエンリケス・ネグレイラは同職を離れており、このことからもバルセロナが審判を買収するために献金していたとの疑念が広がっている。これを受け、UEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長は、「過去50年の欧州フットボールにおける最大の汚職事件」とまで非難し、来季のCL出場権を剥奪する可能性を示唆している。

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