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三笘薫の特性が浮き彫りになったアーセナル戦 ブライトン完勝劇の背景に「右→左」のポジションチェンジ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【ブライトンの左対アーセナルの右】

 三笘は自慢の縦抜けを決めると、左にゴールラインを見ながら深々と切れ込み、マイナスに折り返した。パラグアイ代表の19歳、フリオ・エンシーソがシュートに持ち込むもふかしてしまったが、このシーンが両軍を通じて最初に訪れた決定機で、立役者となったのが左に回ったばかりの三笘であるという事実に、その特性と貴重さが浮き彫りになった。

 三笘対ベン・ホワイトが再度対峙したのは後半の5分。起点となったのはまたしてもCBコルウィルで、そのロングフィードに呼応するように三笘はライン際を疾走した。ベン・ホワイトに走り勝ち、ボールを保持すると三笘は再び1対1を仕掛けた。

 縦に行くと見せかけて内に切り返し、また縦に行くと見せかけて深々と切り返した。ベン・ホワイトが三笘のフェイントにかかりやすい体質だったのか。三笘のフェイントがやはり強烈なのか。ベン・ホワイトが三笘に翻弄される間隙を縫うように、背後の大外を走ったエクアドル代表の左SBペルビス・エストゥピニャンのその鼻先に、三笘はタイミングよくパスを流した。その折り返しはDFに一度は跳ね返されるも、リバウンドがもう一度エストゥピニャンに前にこぼれると、すかさず敢行した2度目の折り返しが先制点のアシストとなった。ゴール前に詰めたのはエンシーソ。前半35分の借りを返した格好だった。

 左ウイングに回った三苫にボールが出るや、2回続けて決定的なチャンスが生まれ、そのうち1回はゴールに直結した。そしてそれをきっかけに流れはブライトンに移行した。アーセナルの敗因は左に回った三笘にあり。つまりマンチェスター・シティの逆転優勝が確実になった背景に三笘あり、である。

 言い換えれば、ブライトンの左サイド対アーセナルの右サイドの2対2の関係でブライトンは勝利したことになる。

 アーセナルの右ウイングは、イングランド代表のブカヨ・サカ。三笘を上回る技巧派である。実際、この試合でも見事なドリブル、惜しいシュートを飛ばしていた。だが、それでもエストゥピニャンは専守防衛に陥らなかった。三笘の背後を駆け上がり、2人がかりで左サイドを崩そうとした。

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