マンチェスター・シティの不安要素は3点 CLレアル戦で見えたフォーメーションの不具合、ハーランドの孤立、そして... (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【シティは第2戦の先発が読める状態に】

 長身アーリング・ハーランドが放ったヘディングは、レアル・マドリードGKティボー・クルトワに阻止されたが、この日決まらなかったシュートのなかでは最大の逸機と言えた。前半、ロドリとケヴィン・デ・ブライネが正面からミドルシュートを放ち、クルトワを泳がせたが、並のGKならともかく、クルトワの前では平凡な攻撃に見えた。両ウイングにボールは集まるがサイド攻撃は決まらない。攻撃は真ん中に集まった。そうなるとクルトワを打ち抜く必要が生まれる。並大抵のシュートでは入らない。

 後半22分、マンチェスター・シティが挙げた同点弾は、そうした難題を解決する、胸のすくようなゴールだった。デ・ブライネが放った150キロは出ていたと思われる矢のようなシュートである。

 ロドリ、グリーリッシュ、イルカイ・ギュンドアン経由でデ・ブライネに渡ったチャンスだが、発端はレアル・マドリードの左SB、カマビンガのパスミスだった。彼が中央に送ったボールをロドリがカット。レアル・マドリードゴール正面で攻守が入れ替わるという、マンチェスター・シティにとっては降って湧いたような幸運なチャンスだった。

 先制弾をアシストしたカマビンガはその後も好プレーを続けていた。得点者がノリノリでプレーするあまり、その後、イエローやレッドカードの対象になるシーンがよくあるが、カマビンガのプレーはそれに似ていた。アドレナリンを発露させるあまり楽天的なパスに及んだ。

 それぞれの失点を比較したとき、重症度が高いのはどちらだろうか。第2戦に影響を及ぼしそうな構造的な問題を抱えているのはどちらか。

 可変式布陣の問題以外にマンチェスター・シティの不安要素を挙げるなら、1トップのハーランドが機能していないことだ。194センチの長身は身動きが取れない状態にある。活躍のシーンは前述の前半16分のヘディング弾に限られた。パスワークに絡むことができずにいる。

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