マンチェスター・シティの不安要素は3点 CLレアル戦で見えたフォーメーションの不具合、ハーランドの孤立、そして... (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【マイボールになると3バックの問題が露呈】

 その11分前の前半25分にはヴィニシウスがサイドを突破し、ゴール前にあわやというボールを折り返していた。

 レアル・マドリードの最大のストロングポイントである左ウイング、ヴィニシウスをどう止めるか。ヴィニシウス対マンチェスター・シティの右サイドの関係は、この試合の1番の見どころだった。

 マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督は、今季、右SBあるいは右CBを務めるジョン・ストーンズを、マイボールに転じるや1列高いで守備的MFに押し上げて使う。相手ボール時には4バック、マイボール時は3バックで対応している。

 想起するのは、グアルディオラがバルセロナでプレーしていたルイス・ファン・ハール時代(1997-00)のサッカーだ。この時に採用した3バックと4バックの可変式は、グアルディオラの脇で構えるフィリップ・コクーが調整役になっていた。現在のストーンズを見ると、マイボール時には守備的MF、相手ボール時にはCBとしてプレーした、当時のコクーの姿が蘇る。

 5バックになりやすい守備的3バックが数を増やしつつある現在、5バックになりにくい3バック、すなわち攻撃的な3バックを目の当たりにすると、流行ってほしいと応援したくなる。

 しかし、この試合では問題点のほうが多く露呈した。マイボール時に3バックを形成し、かつ守備的MFが2人になると、SBの役を果たす選手がいなくなる。サイドアタッカーは実質的に左右両サイド各1人になる。ベルナルド・シウバ(右)、ジャック・グリーリッシュ(左)の両ウイングは、ボールを受けると孤立した。オーソドックスな4バックなら期待できる両SBの下支えがなかった。レアル・マドリードが前半36分に披露したカマビンガとヴィニシウスのような関係が望みにくい状況にあった。

 マンチェスター・シティがサイドをえぐりチャンスを掴んだシーンは、前半16分のグリーリッシュの折り返しぐらいに限られた。

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