U-20日本代表にとって最大の壁は初戦のアフリカ最強セネガル U-20W杯の対戦3カ国を分析する (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【勝利が必要なイスラエル戦】

 決勝ではイングランドに勝つことができなかったが、かなり善戦し、イギリスの新聞は「もし試合が45分で終了だったら、我々は負けていたかもしれない」と評していた。イスラエルサッカー史上、最も高みに上った成功体験は、彼らに自信を与え、より遠くへ行こうとしている。

 アマチュアの選手が多いチームの一番のスターは、ロシア系の攻撃的MF、オスカル・グローフだろう。彼は今年1月に、700万ユーロ(約10億円)の移籍金でマッカビ・テルアビブからオーストリアのレッドブル・ザルツブルグに移籍している。4年半という契約期間の長さが、その期待の高さを物語っている。ちなみにすでにA代表でも4試合をこなし、ゴールも決めている。多くのパスを前線に送りゴールチャンスを作ることができる。性格は真面目でチームの大黒柱。「イスラエルの未来」とも言われている。

 ところでイスラエルでは、心身に問題がない限り、18歳から男女全員が兵役につく。男子はその期間が3年とされている。つまり、今回のW杯に出場する選手たちはまさにその年代というわけだ。ただ他の若者たちのように、彼らは銃を持ったり、何かの任務に就いたりするわけではない。彼らの仕事は軍の代表チームでプレーすることだ。別な見方をすると、他の国のU-20代表の選手たちよりも、ともにプレーする機会が確実に多いということになる。

 日本が彼らに勝つには、経験の豊かさを活かすことだろう。U-19ヨーロッパ選手権でイングランドがどのようにして彼らを破ったかを研究することも大事になる。

 日本が難敵ぞろいのグループに入ったのは確かだ。しかし、決勝トーナメントへの道はそれほど厳しくはないかもしれない。決勝トーナメントには、各グループ1位、2位だけでなく、3位のうちの上位4チームも進むことができる。つまり、イスラエルに確実に勝てば、残りは2引き分け、もしかしたら1敗1引き分けでも可能性は十分にある。初戦は強敵セネガルだが、たとえ黒星スタートとなっても、立て直すことができるだろう。

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