CL準決勝はレアルのヴィニシウス対マンチェスター・シティの右SBに注目 ミラノ勢の対決はポルトガル代表23歳の出来がカギを握る (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

【下馬評はM・シティやや優勢だが...】

 初戦で点差をつけられて敗れたバイエルン、チェルシーは、もっと積極的になれなかったものだろうか。チャレンジャー精神を剥き出しに戦えなかったものだろうか、とは筆者の印象だ。3点差を追うバイエルン。2点差ながら、チームの完成度に差を抱えたチェルシー。普通に戦ったら逆転は難しい。

 引き合いに出したくなるのは2004-05シーズンの決勝、ミラン対リバプール(3-3、延長、PK戦でリバプールの優勝)だ。前半を終えて0-3とリードされたリバプールが、後半頭から敢行したイチかバチかの作戦である。布陣を変え、立ち上がりから猛然とボールと相手を追いかけるサッカーで、後半15分までに3点を奪取。同点に追いついた。

 だが、リバプールの選手たちの足は以降、時間の経過とともに止まっていく。エネルギーを15分までに注ぎ込んだ結果である。PK戦でリバプールはこの一戦を制したが、延長戦はむしろピンチのほうが多かった。最後はミランの攻勢を凌いでPK戦に持ち込んだ格好だった。

 後先考えず、イチかバチか、とにかく試合の頭から飛ばす。徹底的にプレスを掛け、相手を慌てさせる。バイエルン、チェルシーとも当時のリバプールが実践した、バカになりきるサッカーができなかった。チャレンジャーに徹することができなかった。

チェルシーが布陣を、守備的な5バックから攻撃的な4バックに変えたのは後半の半ばからという遅さだった。バイエルンの場合は、とりわけプライドが災いしていたように見える。

 マンチェスター・シティ対レアル・マドリード。ミラノダービーよりこちらのほうが戦いのレベルは高いだろう。サブを含め豪華な戦力を誇るマンチェスター・シティ。頭脳的でしぶといサッカーを展開するレアル・マドリード。英国のブックメーカー各社は、「マンチェスター・シティわずかに有利」と見ているが、イングランド勢に地元のよしみで甘い評価を下す傾向があることも事実だ。予想としては52対48くらいがいい線だろう。

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