本田圭佑のミラン移籍はタイミングが最悪だった? 16年ぶりのCLベスト4進出で振り返るロッソ・ネロの暗黒時代
チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第2戦──ナポリvsミランのイタリア勢対決。ホームでの第1戦を1-0で勝利していたミランだったが、それでもこの大一番を乗り越えてベスト4に到達することは、そう簡単なことではなかった。
対戦相手のナポリは、目下セリエAで首位を独走中。第30節終了時点で4位ミランとの勝ち点差は実に22ポイントもあり、ルチアーノ・スパレッティ監督が浸透させたその攻撃サッカーはCLでも"ダークホース"と高く評価されるなど、戦前の予想でも大方がナポリ優位だった。
本田圭佑のイタリア着にミランの空港が大騒ぎとなった2014年この記事に関連する写真を見る 実際、開始早々から圧倒的にゲームを支配したのは、ホームのナポリだった。対するミランは自陣で守る時間が続くなか、21分にFWラファエル・レオンが得たPKのチャンスでキッカーを務めたFWオリヴィエ・ジルーが痛恨のミス。おそらく熱狂的なミラニスタでも、その時点でミランの勝ち上がりを想像した者は少なかったに違いない。
ところが34分、ナポリはFWマッテオ・ポリターノとSBマリオ・ルイのふたりが同時に負傷交代。累積警告でCBキム・ミンジェとMFアンドレ=フランク・ザンボ・アンギサの主軸ふたりを欠いていたナポリが想定外の事態に見舞われたことで、勝敗の行方は混沌とした。
そして43分、ナポリのMFタンギ・エンドンベレのミスパスを自陣でラファエル・レオンがカットすると、自慢の高速ドリブルで一気に敵陣ボックス内に進入。ラファエル・レオンのクロスをジルーが決めたミランは、ナポリの反撃を後半アディショナルタイムの1点だけに抑え、2試合合計2-1で勝利を収めることに成功した。
ボール支配率は、ナポリの63%に対してミランは37%。シュート数でもナポリの23本(枠内4本)に対し、ミランは6本(4本)のみ。CLの決勝トーナメントには魔物が住むと言われるが、ミランにとってはまさに薄氷を踏む勝利だった。
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著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)